タクシードライバーの事故時の罰金・賠償とその支払い義務の実態

タクシードライバーとして日々運転していると、どうしても交通事故のリスクは避けられません。万が一事故を起こしてしまった場合、会社への罰金や法律上の処分、保険の活用方法など、対応に迷うことが多いものです。本記事では、タクシードライバーが事故を起こした場合の「会社への罰金の実態」と「法的な罰則・支払い義務」について詳しく解説します。

タクシー会社が科す「罰金」の正体とは?

まず多くのタクシー会社では、事故を起こした乗務員に対して「罰金」や「修理費の一部負担」といった名目で金銭的な請求を行うことがあります。しかしこの「罰金」はあくまでも社内規則に基づくものであり、法律上の「罰金刑」とは異なります。

例えば、物損事故を起こした際に「修理費の3割を自己負担」とするケースがあり、これには労使協定や就業規則の明示が必要です。労働基準法では「賃金の天引き」には本人同意が必要であり、強制的な控除は違法となる可能性があります。

人身事故を起こした場合の法律上の罰則

人身事故を起こした場合、行政処分・刑事罰・民事賠償の3つの責任が生じます。

  • 行政処分:違反点数の加算や免許停止・取消処分
  • 刑事罰:過失運転致傷罪(罰金または懲役刑)
  • 民事責任:被害者への損害賠償(治療費・慰謝料など)

このうち刑事罰としての「罰金」は、検察が起訴し略式裁判により科されることが多く、人身事故での罰金額は20万円〜50万円前後が一般的です。ただし重大事故の場合には懲役刑になることもあります。

罰金や賠償の支払いは誰がする?

基本的に、法律上の罰金や賠償責任は加害者本人(ドライバー)が負います。会社が加入している保険(任意・自賠責)が適用されれば、損害賠償は保険から支払われるケースが大半です。

ただし、故意や酒気帯び運転など重大な違反があった場合、保険が使えなかったり、会社からの補償を打ち切られることもあります。

労災や会社加入の保険制度を確認しよう

タクシー会社の中には、「業務中の事故」は労災として取り扱うところもあり、被害者側の補償は自賠責や任意保険で対応、加害者側には給与補償制度や就業支援がある場合もあります。

事故を起こした際に、会社の担当部署(車両管理部・労務課など)に速やかに相談し、社内での手続き・補償制度の確認を行うことが重要です。

会社によって異なる「事故処理ルール」

会社の中には、「1事故あたり○万円まで自己負担」や「事故回数に応じて評価査定減額」など、独自の事故処理ポリシーを設けているところもあります。これらは就業規則や雇用契約書に明記されているはずなので、事前に確認しておきましょう。

一部の会社では、事故時の対応マニュアルが整備されており、弁護士費用特約や事故相談窓口を用意しているケースもあります。

まとめ:タクシードライバーの事故と罰金の対応方法

・法律上の罰金は人身事故で発生し、刑事処分として科される
・会社からの「罰金」は就業規則に基づく社内処分で、賃金控除には本人同意が必要
・損害賠償は原則保険で対応できるが、重大過失には自己負担が発生する場合も
・事故発生時は会社のルールと保険制度を必ず確認し、誠実な報告と対応が重要

事故はドライバーにとって避けたいものですが、冷静に対処し、社内のサポート制度を活用することで負担を軽減できます。

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