100:0の過失割合で相手が全面的に悪い事故に遭った場合でも、車に重大な損傷が生じた結果「修復歴あり」となってしまうケースがあります。とくに残価設定型クレジット(残クレ)で車を購入していた場合、事故後の査定や残価への影響は深刻です。本記事では、こうしたケースでの補償や対応策、残クレ契約者が取るべき選択肢について詳しく解説します。
修復歴がつくと車の価値はどうなるのか?
修復歴とは、車の構造部分(フレームやクロスメンバーなど)に損傷があり、修理された経歴のことを指します。単なるバンパー交換やドアのへこみ修理とは異なり、車両の査定額に大きく影響を及ぼします。
たとえば、新車購入から1年以内であっても、修復歴が付いた瞬間に中古車としての価値は大幅に下落し、場合によっては数十万円〜100万円以上の差額が生じることもあります。
100:0の事故でも「価値減」は全額補償されない?
基本的に100:0の事故であれば、修理費用は全額相手方(もしくはその保険会社)が負担しますが、「修復歴による価値の低下(評価損)」については自動的に補償されないことが一般的です。
ただし、評価損に対しても損害賠償請求が可能です。これは裁判所や弁護士を通じて損害額を主張し、示談交渉に含めることで補償が認められる場合があります。
残クレ利用中に事故で修復歴がついた場合の影響
残クレ(残価設定ローン)は、契約満了時に「返却」「乗換え」「買取」の3つから選択できる制度です。このうち「返却」や「乗換え」を選ぶ場合、修復歴があると査定額が残価を下回り、差額を請求されるリスクがあります。
例えば、残価100万円と設定されていた車が修復歴によって査定額70万円となった場合、30万円は契約者側が支払うことになります。これは事故の責任が100%相手にあっても免れることはできません。
評価損の請求はできる?実際の補償例
評価損は主に次のような場合に請求が検討されます。
- 車両が新しい(登録後1〜2年以内)
- 高級車・スポーツカーなど査定基準が厳しい車種
- 構造部に明確な修理歴が残る
実例として、300万円で購入した高年式セダンが事故で修復歴ありとなり、100:0で相手過失だったものの評価損として約40万円が示談で認められたケースがあります。
評価損の請求には、弁護士費用や時間がかかる可能性もありますが、法テラスや自動車保険の弁護士費用特約を活用することで負担を抑えることが可能です。
残クレ車両に事故リスク…契約時の備えが重要
残クレ契約時には、事故によるリスクを踏まえて以下のような対応を取っておくと安心です。
- 車両保険(車対車+Aや一般型)の加入
- 弁護士費用特約の付帯
- 事故時の減価償却・残価精算条項の確認
また、契約満了時の返却条件(傷・事故歴・純正パーツの有無など)についても事前に把握しておきましょう。
まとめ:100:0でも修復歴は「致命傷」になる可能性も
相手過失100%の事故であっても、修復歴がついた場合の価値減は原則補償されないため、残クレ契約中の方にとっては大きな損失となる場合があります。評価損の請求や契約内容の見直しを早期に行うことが、損害を最小限に抑える鍵となります。
可能であれば、購入時から弁護士特約や残価保障がある保険・契約オプションを検討しておくことが安心につながります。