夜の接客業などのサービス業において、顧客の収入源まで把握するのは現実的に困難です。しかし、万が一その顧客が脱税していたと知った場合、「自分の店に何か影響があるのではないか」と不安に思う方も少なくありません。本記事では、脱税者から支払われたお金を知らずに受け取った場合の影響や法的リスクについて解説します。
脱税と「善意の第三者」の原則
民事・刑事の両面において、「脱税者が支払ったお金を受け取っただけ」の第三者には、基本的に法的責任は生じません。なぜなら、あなたが脱税の事実を知らなかった、つまり「善意無過失」であれば、違法行為に加担したとはされないからです。
たとえば、クラブや飲食店などで脱税者が客としてお金を使った場合、その店側が脱税と無関係である限り、捜査対象にはならないのが通常です。
実際に起こり得る「間接的な影響」
とはいえ、捜査の過程で脱税者の資金の流れが追跡されることはあり、その際に「どのようにお金が使われたか」が確認されることがあります。このとき、お店の取引先として記録が残る可能性はあります。
ただし、あなた自身やお店がその脱税行為に関与していない限り、事情聴取や証言を求められる程度で済み、金銭的・法的な被害にはつながりにくいと考えられます。
リスクがあるケースとは?
以下のような場合には、注意が必要です。
- 顧客が脱税していると知りながら高額な現金を受け取っていた
- 顧客と共謀して金銭の流れを隠した
- 資金洗浄(マネーロンダリング)に関与した疑いがある
これらに該当する場合、共犯やほう助の可能性があるため、責任を問われることになります。
万が一事情聴取を求められた場合の対応
万一、税務署や警察から事情を尋ねられた場合には、落ち着いて正直に対応することが最も重要です。法律の専門家に相談することも検討しましょう。
また、顧客の脱税の事実を知った後も取引を継続することにはリスクがあるため、今後の対応方針を見直すのが賢明です。
実例:脱税事件と取引先の扱い
過去の判例や報道事例では、脱税者の資金がクラブや高級飲食店などで使用されたケースが確認されていますが、店側が処罰された事例は非常に稀です。
例えば、ある医師の脱税事件では、趣味の飲食に多額の資金を投じていましたが、利用先の店舗が違法行為に問われたことはありませんでした。
まとめ:知らなかった場合は基本的に無罪だが、今後の対応は慎重に
脱税者の顧客からの支払いを知らずに受け取っていた場合、法律上の責任を問われることはほとんどありません。ただし、今後の関係性や顧客の選別には注意し、場合によっては一線を引く判断も大切です。
心配な場合は弁護士や税理士などの専門家に相談し、安心して仕事を続けられるよう備えましょう。