自転車盗難と監視カメラ画像の張り紙は違法?肖像権と名誉毀損に注意

自転車盗難の被害に遭い、防犯カメラに映った犯人の画像を張り紙に使って注意喚起をしたいというケースは少なくありません。しかし、その行為が法律に違反する可能性があることをご存知でしょうか?本記事では、肖像権・名誉毀損・プライバシーの観点から、画像付き張り紙のリスクと対処法を解説します。

防犯カメラの画像を公開してよいか?

基本的に、防犯カメラに映った人物の写真を無断で第三者に公開する行為は、肖像権やプライバシー権の侵害となる可能性があります。たとえ犯人と思われる人物であっても、警察や裁判所の判断を経ずに個人が情報を公開するのはリスクを伴います。

特に犯人が未特定である段階では、その人物が本当に犯人かどうかも明確でないため、誤って無関係な人を晒してしまう可能性もあります。

名誉毀損に該当するリスク

刑法第230条では「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」と定められています。たとえ事実であっても、社会的評価を不当に下げるような行為は名誉毀損となる可能性があります。

特に顔写真を貼り出す行為は「公然性」が高く、たとえサングラスをしていても個人の特定につながる可能性があると判断されることもあります。

実例:SNSや張り紙による「犯人探し」で訴訟に発展したケース

過去には、万引きや自転車盗難の画像をSNSに投稿した人物が、名誉毀損やプライバシー侵害で訴えられたケースがあります。画像投稿後に犯人とされた人物が「誤認だった」と主張し、損害賠償請求が行われた例もあります。

このように、善意で行った行動でも法的リスクを伴うため、注意が必要です。

安全に行動するためにできること

  • 防犯カメラの映像はまず警察に提出し、正式な捜査依頼を行う
  • 自力での張り紙や画像公開は避ける
  • やむを得ず注意喚起する場合は、人物の特定につながらない加工(モザイク処理など)を行い、文言も「ご注意ください」と中立的にする

張り紙をする場合も、公共の場所や他人の所有物に無断で掲示すると軽犯罪法や条例違反となる恐れがありますので、場所選びにも注意しましょう。

まとめ:自転車盗難と法的対応のバランス

自転車盗難の悔しさから、張り紙などで自力で対応したくなる気持ちは理解できますが、法的リスクを回避するためには、必ず警察に届け出て対応を任せるのが最も安全で確実な方法です。

画像の扱いについても、公開することで自分が加害者側に回る可能性があることを理解し、慎重に行動しましょう。困った場合は、弁護士に相談するのも一つの選択肢です。

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