通勤中の自動車事故で骨折等の重症時に労災と自動車保険どちらを使うべきか?休業損害や保険料への影響を解説

通勤中に自動車事故で重症となり、骨折などで長期治療や休業を余儀なくされた場合、労災保険と自動車保険(自賠責・任意保険)のどちらを使うのが適切か、また保険料への影響について、具体例を交えてわかりやすく解説します。

通勤中の事故は労災保険の対象になる

通勤途中の自動車事故は「通勤災害」として労災保険が適用可能です。合理的な通勤経路・方法で事故が起きた場合、労働災害の補償対象となります。

したがって、通勤中のケガには労災保険からの給付(療養給付・休業給付など)を受けることができます。
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労災保険と自動車保険の違いと併用ルール

労災保険は過失割合にかかわらず補償が減額されない一方、自賠責や任意保険では過失割合に応じて補償が調整されます。

また、両者は併用可能ですが、同じ損害について重複した補償(二重取り)はできず、支給調整が行われます。
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補償内容を比較:休業損害・治療費等

労災保険では
①休業給付(平均賃金の60%)+特別支給金(平均賃金の20%)=計約80%の補償
②治療費は原則全額(自由診療も含む)が対象
となります。

一方、自動車保険(任意保険)は休業損害を原則100%補償、治療費も自賠責の120万円枠を超えた分をカバーする柔軟性があります。
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こんなケースでは労災を先に使うと有利

・自身の過失割合が大きく、過失相殺で自賠責補償が減額される見込みがある場合、労災の方が減額されないため有利です。

・治療が長期化し、①自賠責の120万円の補償枠では足りない場合。労災保険には上限がなく、診療費の負担なく治療に専念できます。
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保険料への影響は?

通勤災害として労災保険を使っても、**保険料の増額対象にはなりません**。

業務災害(勤務中の事故)では事業主の労災料率に影響することがありますが、**通勤災害では保険料に影響しない**ため、安心して労災を選ぶことができます。
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選ぶ際の判断ポイントと実例

例:骨折して数週間仕事を休む必要があり、自身の過失割合が30%と推定される場合。

→休業補償だけなら任意保険100%が魅力ですが、治療費が自由診療かつ長期化する場合、労災を使って治療費と特別支給金を受け取り、残りを自動車保険で補うのが得策です。

まとめ

通勤中の自動車事故で重症となった場合、労災保険と自動車保険はいずれか一方だけでなく、状況に応じて併用するのが最も有効です。

過失割合が高い、治療費が高額となる、自賠責の限度額を超える見込みがあるときは労災保険を優先するのが有利です。また、通勤災害であれば労災保険を使っても保険料の増加はありません。

最終的な選択には、過失割合や傷病内容、治療方針などを踏まえ、医師や保険会社とも相談の上、最適な対応を考えましょう。

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