交通事故で車両に損傷を受けた場合、賠償請求の額は修理内容や交渉次第で大きく変わることがあります。この記事では、被害者側として正当かつ不利益のない賠償を受けるための修理選定や交渉の進め方について、実例を交えて詳しく解説します。
加害者側の全過失(10:0)の場合の基本方針
過失割合が10:0で加害者に全責任があると保険会社が認めている場合、修理費用や代車費用などの直接的な損害は全額補償対象となります。
この段階で大切なのは、保険会社に任せきりにせず、修理内容や金額について納得できる根拠をこちらから提出することです。
できるだけ高額で正当な修理費を算定するには
- ディーラーやメーカー指定工場での見積もりを依頼する:これにより純正部品での高品質な修理を見積もってもらえます。町の修理工場より金額が高めになる傾向があります。
- 交換前提の修理提案を依頼する:「板金で済ませる」よりも「バンパー交換・グリル交換」など部品交換の方が見積額は高くなります。
- 修理見積書に写真添付してもらう:損傷状況を保険会社に明示しやすく、交渉材料として有効です。
また、ディーラーや整備士に「相手保険会社との交渉を前提にした丁寧な見積もりが必要です」と事前に伝えると、より詳細な対応をしてもらえます。
時間的損失・実費の請求に含められるもの
金額に反映させたい「時間的損失」や「間接的な支出」には以下のものがあります。
- 代車費用:修理期間中の代車費(保険で上限あり)
- 休業損害:業務使用中で収入に影響が出た場合に申請可(給与明細などが必要)
- 交通費:修理工場や保険会社との連絡・移動に伴う費用
- 洗車・清掃・再施工費:コーティング再施工などの付随費用
感情的な理由(謝罪がない等)だけでは慰謝料のような形で金額上乗せは困難ですが、実費を客観的に記録し、「合理的な損害」として請求することが重要です。
加害者側保険会社との交渉時の注意点
・修理前に保険会社へ見積書・写真を提出し、了承を得てから修理を進める
・「相手保険会社の指定工場を使って」と言われても強制力はない
・交渉記録はメールや文書で残すことが望ましい
また、保険会社が「そこまでは補償できません」と言ってきた場合でも、修理内容に合理性がある限り再交渉は可能です。根拠ある見積と説明があれば、高額でも通るケースは多くあります。
実例:純正パーツと塗装込みで高額修理が通ったケース
例:前方バンパーに軽い擦れ傷があったが、ディーラーで「全交換+塗装+エーミング調整」で見積もり総額28万円。相手保険会社も「車両の年式と市場価値に見合った正当な修理」として全額補償を了承。
このように、高額な修理見積も正当性と整備記録があれば認められやすい傾向があります。
まとめ:損をしないためのポイントは「正当性と記録」
被害者として適切な賠償を受けるためには、過剰請求ではなく、合理性と証拠に基づいた請求を心がけることが大切です。
修理の見積もりはディーラーなど信頼性の高い工場で依頼し、加害者側保険会社と交渉する際は、写真や書類で客観的に説明できるよう準備を整えましょう。
感情論ではなく、記録と実費の積み重ねが、最も確実な賠償額アップへの近道です。