身内からのLINEやメールによる誹謗中傷や侮辱的な発言に苦しむケースは少なくありません。たとえ家族・親族であっても、精神的苦痛を与えるメッセージが続くようであれば、それは立派なハラスメントであり、場合によっては法的対応も可能です。本記事では、親族間での誹謗中傷に対する警察対応の可能性や被害届の提出方法、注意すべき点について詳しく解説します。
誹謗中傷・侮辱に該当する発言とは?
まず、法的に誹謗中傷とされるのは、以下のようなケースが該当します。
- 社会的評価を著しく下げるような発言(名誉毀損)
- 人格を侮辱するような発言(侮辱罪)
- 脅迫や威圧的な言葉(脅迫罪・強要罪)
例として「お前は無能だ」「死ね」「社会のゴミ」といったメッセージが繰り返されていれば、侮辱罪や脅迫罪として立件される可能性もあります。
親族からのメッセージでも警察は動く?
一般的に警察は民事不介入の原則があるため、家族や親族間のトラブルについては消極的な傾向があります。しかし、内容が明らかに刑事事件の構成要件を満たすようなものであれば、被害届の受理や警察による事情聴取が行われることもあります。
特に「連続的なメッセージ」「執拗な侮辱」「生活に支障をきたすレベル」であれば、証拠を持って交番・警察署に相談することをおすすめします。
被害届を出すまでの準備と流れ
警察に相談する前に、以下の準備をしておくとスムーズです。
- LINEやメールのスクリーンショット(日時・送信者が明確なもの)
- メッセージによって感じた精神的ダメージや生活への影響(メモでもOK)
- 可能であれば、弁護士など専門家からの意見書
相談は交番でも可能ですが、最寄りの警察署の生活安全課に連絡するほうが、家庭内・親族間トラブルへの対応に慣れている傾向があります。
警察が動かない場合の他の対処法
警察が「民事だから…」と取り合ってくれない場合でも、他の手段があります。
- 法テラスや自治体の法律相談窓口に相談
- 弁護士に依頼して内容証明郵便を送付し、誹謗中傷の中止を要求
- 家庭裁判所への調停申立てや仮処分申請
また、継続的なメッセージがストーカー規制法やDV防止法の対象になる場合もあり、これらの法律を根拠とした保護命令申請も視野に入ります。
誹謗中傷に関する刑罰と民事責任
誹謗中傷の内容に応じて、以下のような刑罰が科されることもあります。
- 名誉毀損罪:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 侮辱罪:拘留または科料(2022年改正で懲役刑も導入)
- 脅迫罪:2年以下の懲役または30万円以下の罰金
また、民事訴訟で損害賠償請求(慰謝料)が認められるケースもあり、精神的苦痛に対して金銭的補償を求めることができます。
まとめ:親族間トラブルも証拠と冷静な対応がカギ
身内とのトラブルは精神的にも大きな負担となりますが、法的対応を視野に入れることで自己防衛が可能になります。まずは証拠を確保し、警察や専門家に冷静に相談することが大切です。
我慢し続けるのではなく、正当な方法で身を守る選択肢があることを知り、必要であれば法的措置に踏み切ることも視野に入れましょう。