SNSや掲示板の普及により、インターネット上での誹謗中傷が大きな社会問題となっています。では、数年前の誹謗中傷コメントに対しても訴えることができるのでしょうか?この記事では、誹謗中傷に対する法的対応の現実や、費用対効果、実例を交えて解説します。
誹謗中傷に時効はあるのか?
誹謗中傷に関する損害賠償請求には時効が存在します。基本的には「被害を知った日から3年」「権利が発生した時から20年」という民法の規定が適用されます。
つまり、誹謗中傷の事実や加害者を認識した日から3年以内であれば、訴えることは可能です。ただし、開示請求(プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示)については、投稿から6ヶ月~1年以内が望ましいとされており、それを過ぎるとログが消えてしまうケースもあります。
実際に訴えられているケースは?
芸能人やインフルエンサーの中には、2~3年前の誹謗中傷コメントに対しても法的措置を取るケースがあります。特にTwitter(現X)や掲示板の悪質な投稿が対象になることが多いです。
ただし、個人が過去の投稿に対して訴えるには、証拠の確保と相手の特定がカギとなり、一定のハードルがあります。
費用はどのくらいかかるのか?
誹謗中傷の発信者情報開示請求には、弁護士費用を含めて20万~60万円程度かかるのが一般的です。さらに損害賠償請求まで進めば追加費用が発生します。損害賠償金として得られる額は10万円~50万円が目安です。
そのため、相手が無職であったり、連絡先が変わっていた場合には「回収不能」になるリスクもあります。
相手が逃げたらどうなる?
発信者がSNSのアカウントを削除していたり、電話番号を変えていた場合、プロバイダがログを保持していないと特定は困難になります。また、開示請求に応じてもその後の損害賠償が現実的に不可能なケースも。
こうしたリスクを回避するためにも、書き込みの日時、URL、スクリーンショットなどを早めに証拠として保存しておくことが重要です。
弁護士への相談が現実的な一歩
もし過去の誹謗中傷コメントで心に傷を負ったのであれば、まずはネットトラブルに強い弁護士への相談をおすすめします。初回無料相談を提供している事務所も多数あり、現実的な対応方針をアドバイスしてもらえます。
また、被害者支援を行うNPOや自治体の窓口でも、必要に応じて弁護士の紹介や助言を受けられる場合があります。
まとめ:2~3年前でも訴えることは可能、だが現実的な対策を
過去の誹謗中傷コメントに対しても、法的措置を取ることは可能です。ただし、証拠の保全やログの有無、費用面など複数のハードルが存在します。
相手が特定できず赤字になるリスクもあるため、まずは弁護士など専門家に相談し、費用対効果を見極めたうえで行動するのが現実的な選択肢といえるでしょう。