交通事故の被害により仕事が続けられなくなった場合、賠償金の金額は生活や仕事への影響度合いに応じて大きく変動します。特に後遺障害等級や職業の特性が賠償の金額に直結するため、正しい理解が重要です。
後遺障害が賠償額に与える影響とは
交通事故によって受けたケガが治療後も残った場合、それが「後遺障害」と認定されると、賠償金の算定に大きく影響します。後遺障害は1級から14級までの等級があり、等級が重いほど賠償額も高くなります。
例えば、めまいなどの平衡感覚の障害は、等級10級または12級に該当する可能性があります。骨折後の可動域制限なども、等級認定の対象になります。
「逸失利益」とは?働けなくなったことへの補償
事故で本来得られたはずの収入が得られなくなった場合、その差額を補償するのが「逸失利益」です。計算式は以下の通りです。
逸失利益=基礎収入 × 労働能力喪失率 × 就労可能年数に基づくライプニッツ係数
たとえば配達員が事故後に同じ仕事を続けられなくなった場合、その年収と年齢、後遺障害等級に基づいた労働能力喪失率により数百万円〜数千万円に及ぶ賠償が発生する可能性があります。
具体的な職種と賠償額の関係
肉体労働が主体の仕事(例:配達業務や建設作業など)は、身体能力の低下がダイレクトに仕事の継続可否に関わるため、後遺障害の影響が大きく反映されやすくなります。
一方で、デスクワーク中心の職種であれば後遺障害があってもある程度の業務が可能とみなされ、賠償額は比較的抑えられる傾向があります。
慰謝料の金額も上乗せされる
後遺障害が残った場合は、逸失利益とは別に「後遺障害慰謝料」も請求できます。等級ごとの目安は以下の通りです。
等級 | 慰謝料相場(自賠責基準) |
---|---|
1級 | 1,150万円 |
10級 | 190万円 |
14級 | 32万円 |
上記は自賠責基準であり、任意保険や裁判基準ではさらに高額となることがあります。
示談交渉時の注意点と弁護士の活用
保険会社が提示する示談金額は、実際の損害や後遺障害の影響を十分に反映していないことがあります。納得のいく賠償金を得るためには、弁護士を介して交渉することが有効です。
たとえば後遺障害12級が認定され、年収350万円の配達員が40歳であった場合、逸失利益だけでも約1,000万円を超えるケースがあります。このような損失は専門家の力を借りなければ正当に評価されにくいのが実情です。
まとめ:職業や症状に応じて賠償額は変わる
交通事故によって本業ができなくなった場合、後遺障害認定と逸失利益の計算を通じて、賠償額は大幅に上がることがあります。特に配達など身体を使う仕事の場合、その影響は深刻です。
示談に入る前に、交通事故に強い弁護士に相談することで、本来受け取れるはずの適正な賠償を得られる可能性が高まります。まずは後遺障害等級の申請と、自身の収入に基づいた試算を行うことが第一歩です。