交通事故の治療において、保険会社の指示で医療費を自費(10割負担)で立て替えたものの、過失割合の影響で思ったように賠償されないケースは少なくありません。本記事では、健康保険を使った適切な精算方法や、後からの変更が可能なケースについて詳しく解説します。
交通事故の治療費は健康保険を使えない?その誤解
交通事故の場合でも、健康保険の使用は可能です。ただし、保険者(加入している健康保険組合等)への「第三者行為による傷病届」の提出が必要です。
これは「交通事故など他人の加害行為による治療でも、健康保険で対応できるが、あとで加害者側に請求します」という制度です。健康保険が使えないと思い込んで10割負担を続ける必要はありません。
すでに10割で立て替えた費用の精算方法
すでに自費で支払ってしまった医療費は、月内であれば病院に申し出ることで健康保険扱いに切り替え可能な場合があります。早急に以下の手続きを行いましょう。
- 医療機関へ連絡し、「健康保険を使いたい」と申し出る
- 保険証の提示と「第三者行為による傷病届」の提出(後日でも可)
- 返金対応や再精算の確認(病院によっては一部対応不可)
なお、病院によっては領収書の再発行や返金対応に時間がかかることがあります。可能な限り月内に対応を依頼することが重要です。
加害者側の保険会社との過失割合による影響
過失割合が6:4であった場合、原則として被害者の負担分(この場合40%)は自己負担となります。つまり、加害者側の保険会社は60%分の損害を賠償する形となります。
そのため、自費で10割払っても保険会社から満額返ってくるわけではなく、自分の健康保険を使って7割負担を軽減し、残り3割を自己負担とする方が合理的な場合が多いのです。
健康保険を使用する際の注意点
健康保険を交通事故に使う際は、以下の点に注意が必要です。
- 保険者へ「第三者行為による傷病届」の提出が必要
- 保険診療に切り替える場合、医療機関の同意と再処理が必要
- 慰謝料や休業損害などは別途請求が必要(これは健康保険ではカバーされません)
また、通院期間が長引くほど立て替え負担が大きくなるため、早めに対応しましょう。
交通事故に強い相談先の活用
医療費の負担軽減や過失割合の納得いかない処理など、交通事故対応で悩む場合は以下の機関も頼りになります。
- 各都道府県の交通事故相談所
- 加入している健康保険組合・協会けんぽ
- 弁護士(交通事故に詳しい専門家)
これらを活用することで、精神的負担を減らし、適正な補償を受けやすくなります。
まとめ:10割負担は継続すべきではない
交通事故後に10割で立て替えている場合でも、健康保険を利用すれば自己負担を大きく減らすことが可能です。病院や保険者と連携して、月内に再精算を申し出ることが大切です。
過失割合がある場合も、健康保険+自己負担の組み合わせで、全額自費よりはるかに負担を軽減できます。損をしないためにも、正しい手続きと早期対応を心がけましょう。