自宅防犯カメラが隣家を一時的に撮影してしまった場合、盗撮や違法行為にあたるのか?法律と実例で解説

近年、家庭用の防犯カメラの普及により、プライバシーや近隣トラブルに関する問題が注目されています。とくに、自宅に設置したカメラが誤って隣家を映してしまった場合、その行為が「盗撮」や「プライバシー侵害」とされるのか、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、防犯カメラの向きや撮影範囲と法的な責任について、実例を交えながら詳しく解説します。

防犯カメラによる撮影が違法になる可能性

防犯カメラ自体の設置は法律で禁止されていません。ただし、その設置方法や撮影対象によっては、プライバシー侵害や名誉毀損、軽犯罪法違反などに該当する可能性があります。

とくに、明確な意図をもって他人の敷地や生活空間を常習的に撮影し、それが相手の人格権を侵害すると認定される場合には違法行為とされる可能性があります。

一時的な誤作動・向き忘れは原則「違法」ではない

防犯カメラが誤って一時的に隣家を撮影してしまった場合でも、それが継続的ではなく、録画の内容や使用目的が正当であれば違法とされる可能性は低いです。

例えば、風鈴の音の出どころを探すために一時的に向きを変え、その後戻し忘れたという事実であれば、「過失」として責任を問われる可能性は低いです。重要なのは、その映像をどう扱ったかです。

民事上の注意点:関係悪化が生むトラブル

隣人との関係が既に悪化している場合、防犯カメラの存在が新たな火種になることもあります。相手が証拠としてスマホで撮影し、行政機関や弁護士に相談するケースも見られます。

ただし、防犯目的であり、かつ一時的なものであるならば、仮に相手から苦情が来たとしても違法と認定されるリスクは低いと考えられます。

盗撮罪や軽犯罪法違反にあたるケース

「盗撮」という言葉が登場するのは、刑法175条や迷惑防止条例が関係する場合です。これらは主に「人の衣服の中」や「身体」を意図的に隠し撮りしたケースに適用されます。

隣家の敷地を撮影してしまっただけで「盗撮罪」に問われることはまずありません。ただし、望遠カメラで室内を狙ったなど悪質な行為があった場合には適用対象になることもあります。

万が一、相手が騒いできた場合の対応策

・「撮影は意図せず一時的なものだった」と説明し、映像の削除を申し出ることが和解の鍵となります。

・相手がさらに騒ぐ場合は、最寄りの警察署や自治体の相談窓口へ事情を説明しておくことで、身を守ることができます。

・あらかじめ防犯カメラの設置位置や撮影範囲を文書で記録しておくと、トラブル時の説明にも有効です。

まとめ:カメラの向きとモラルを見直そう

家庭用防犯カメラのトラブルは「違法かどうか」以上に、相手にどう受け取られるかが重要です。

本来の防犯目的に沿った運用を徹底し、周囲の住民との関係も配慮しながら使うことで、思わぬトラブルを未然に防ぐことができます。設置後は、定期的な点検と撮影範囲の見直しを心がけましょう。

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