エステの契約において、契約書の原本や控えが手元にないまま支払いが進んでいる状況は、トラブルの温床になりかねません。今回は、店舗側に契約書を回収されたにも関わらず連絡がつかない場合に取るべき対応策を、法的視点と実務の観点から解説します。
契約書を渡してしまった後のリスクとは
本来、契約書は双方が内容を確認し合意した証拠となる重要な書類です。利用者にも写し（控え）を渡すことが一般的であり、店舗側が一方的に契約書を回収するのは適切とは言えません。
手元に契約内容が確認できる資料がない状態で残金精算を求められるのは、金額の誤認や二重請求のリスクがあります。契約内容や支払い履歴を明確に把握するためにも、速やかに控えの交付を求める必要があります。
店舗との連絡がつかないときに取るべき行動
まずは電話やメールなど、記録に残る方法で再度連絡を取りましょう。連絡の日時や内容をメモしておくと、後に証拠として活用できます。
また、催促の内容は冷静かつ丁寧にまとめ、「契約書のコピーを受け取らないと残金を支払えない」などの正当な理由を明記することで、相手の対応を促しやすくなります。
消費生活センターへの相談は有効か？
店舗からの返答がない、または不誠実な対応が続く場合は、全国の消費生活センターに相談することをおすすめします。専門の相談員が状況を整理し、適切なアドバイスや仲介を行ってくれます。
特に、高額な契約や継続的な支払いが発生するケースでは、第三者の介入によって問題解決がスムーズに進むこともあります。
エステ契約でありがちなトラブルと防止策
今回のような契約書に関するトラブル以外にも、エステでは以下のような問題が報告されています。
- クーリング・オフの案内がなかった
- 施術効果が説明と異なる
- 中途解約時の返金額に納得できない
トラブルを防ぐためには、契約前に内容をしっかり確認し、可能であれば書面をスマホで撮影して保存しておくことも有効です。
今後のために知っておきたい法的な知識
特定商取引法では、エステなどの継続的サービスに対して、契約書交付の義務やクーリング・オフ制度の適用が定められています。契約書を交付しない、または契約内容を不明瞭にする行為は法律違反となる可能性もあります。
また、分割払いで支払っていた場合は、支払い履歴が分かるようクレジット明細や振込記録も保管しておきましょう。状況によっては支払済額を証明する手段となります。
まとめ：まずは冷静に対応し、必要に応じて第三者へ相談を
契約書の不在や店舗からの連絡が滞っている状況では、焦って支払いや対応を進める前に、自分の立場と選択肢を整理することが大切です。
連絡がつかない場合は催促を続けつつ、記録を残し、消費者センターや弁護士への相談を視野に入れましょう。自分の権利を守るためにも、適切な手順と冷静な行動がトラブル解決の鍵となります。