相続手続きの一環として弁護士に依頼したものの、数ヶ月にわたって進展が見られず、不安や不信感を抱くケースが近年増えています。この記事では、弁護士が相続問題を放置した場合のリスクと、その後の正しい対処法について解説します。
弁護士の職務怠慢とは?4ヶ月放置は通常なのか
弁護士も業務が立て込むことがありますが、通常は受任後すみやかに案件の概要を整理し、関係者と連絡を取るのが一般的です。4ヶ月ものあいだ進捗がないまま放置されていた場合、それは職務怠慢とみなされる可能性があります。
日本弁護士連合会が定める「弁護士職務基本規程」では、受任後に適切な説明と進捗の報告を行う義務があるとされています。これを怠ることは、倫理違反につながる場合もあります。
依頼人として知っておくべき連絡義務と報告義務
弁護士は依頼者に対し、事件の進捗や方針変更などの重要事項を説明する「報告義務」を負います。依頼者はその説明に基づいて判断を下す立場にあるため、連絡がないまま進められたり、進展がない状態が続くことは不適切です。
たとえば、司法書士と情報共有されていない、相続人に連絡を取っていないといった事実は、重大なコミュニケーション不足といえます。こうした場合、まずは文書での問い合わせを行い、証拠を残しておくことが重要です。
弁護士変更は可能?変更に伴う注意点
進展がない場合や信頼関係が破綻したと感じた場合には、弁護士を変更することも可能です。契約解除の理由に制限はなく、依頼者の判断で自由に変更できます。ただし、すでに支払った着手金の返金は原則難しく、今後の対応は新しい弁護士が一から着手することになります。
変更を希望する際は、現在の弁護士にその旨を文書で通知し、新しい弁護士に案件の引き継ぎをお願いする形になります。紹介制度や地域の弁護士会を通じて探すのも一つの方法です。
異議を唱えた相続人との関係が悪化するリスクとその対処法
依頼した弁護士が連絡を怠ることで、他の相続人との信頼関係が損なわれることがあります。とくに、相手方が「放置されている」と感じて不信感を募らせると、話し合いによる解決が困難になり、調停や訴訟に発展するリスクもあります。
このような事態を避けるためには、早期に信頼できる弁護士を通じて相手方と誠実な交渉を再開し、遅延の理由を丁寧に説明することが重要です。
トラブル解決のために取るべきステップ
- 現在の弁護士に正式な文書で進捗確認を行う
- 対応が不十分であれば、弁護士会の「紛議調停」制度を利用して相談
- 信頼できる弁護士に再依頼するか、セカンドオピニオンを取る
- 相手方との関係改善に向けて、書面や第三者を交えた説明を検討
日本弁護士連合会や各地域の弁護士会には、弁護士とのトラブルについての相談窓口が設けられていますので、心配な場合は積極的に活用しましょう。
まとめ:依頼した弁護士の対応に不満があるなら早めの見直しを
相続のようなデリケートな問題では、対応の遅れが大きなトラブルを招くことがあります。今回のように弁護士の対応が遅れたことで他の相続人との関係がこじれる前に、迅速な対応と信頼関係の見直しが必要です。まずは現在の状況を把握し、冷静かつ的確に次の行動を取りましょう。