交通事故を起こしてしまった場合、被害者のけがの程度や通院期間がその後の処分にどのように影響するのか気になる方も多いでしょう。とくに、診断書に記載された全治日数を超えても被害者が通院を続けている場合、加害者側の責任が重くなるのかは重要なポイントです。
診断書の「全治日数」とは何か
交通事故で作成される診断書に記載される「全治〇週間」という記載は、治療に要するおおよその期間を医師が医学的見地から判断したものです。
これは法的判断の基準となることもありますが、必ずしも被害者の実際の治癒期間や通院期間を正確に反映するものではありません。
通院期間が長引いた場合に処分は重くなるのか
一般的に、警察や検察は診断書に記載された「全治日数」と、実際の通院実績の両方を考慮します。もし診断書が「全治4週間」であっても、それを超えて通院が続いている場合、次のような考慮がされる可能性があります。
- 被害者が後遺症や痛みを訴え、通院を継続していること
- 保険会社の判断で治療が妥当とされている場合
- 被害者の回復に時間がかかっている合理的理由がある
こうした事情がある場合、検察官は「傷害の程度が重い」とみなし、罰金や起訴の判断に影響を与えることがあります。
調書作成や事情聴取が遅れる理由とその影響
加害者が事故後しばらく事情聴取を受けていないというケースは珍しくありません。特に人身事故の場合、捜査側が被害者の治療経過をある程度見てから事情聴取に入るケースもあります。
調書作成が遅れることで、加害者にとって次のような不安があるかもしれませんが、必ずしも処分が重くなるとは限りません。
- 警察が被害者の診断経過や示談状況を確認中
- 加害者・被害者の都合で日程調整中
- 重大な過失がないと判断されて優先度が下がっている
処分内容に影響する要素とは?
行政処分(免許の点数や停止)や刑事処分(罰金、起訴)の判断に影響を与える主な要素は以下の通りです。
- 過失の度合い(信号無視、スピード超過など)
- 被害者の怪我の程度(診断書と実通院日数)
- 加害者の態度(救護義務の履行、誠実な対応)
- 示談成立の有無
実際には、診断書の全治期間より通院期間が長くなっても、被害者が医師の指導に従って通っている限りは「虚偽の通院」とは見なされません。
実例:全治2週間が3ヶ月の通院に
全治2週間の診断であっても、むち打ち症などで被害者が3ヶ月以上通院を続けたケースもあります。この場合、加害者が誠実に謝罪し、早期に示談が成立したため、刑事処分は不起訴、行政処分も軽微にとどまった例もあります。
逆に、被害者との連絡を怠り示談が不成立となった場合、罰金処分や免許停止となった例もあります。
まとめ:診断書と通院実績は総合的に判断される
事故後の処分が重くなるかどうかは、診断書の全治日数だけでなく、実際の通院期間、示談の進捗、加害者の対応など、複数の要素をもとに総合的に判断されます。
調書作成が遅れてもそれだけで処分が重くなることは少なく、冷静に対応し、誠実な態度で臨むことが最も重要です。