刑事事件で起訴された場合、本人や家族にとっては精神的にも大きな負担になります。特に初めて裁判を経験する人にとって「裁判には親も同行するのか?」という疑問は自然なものです。この記事では、未成年者と成人での違いを踏まえ、親の同行が必要かどうか、またその際の注意点や実際の裁判の流れについてわかりやすく解説します。
未成年者が起訴された場合の親の関与
未成年(20歳未満)の場合、起訴されると原則として「家庭裁判所」に送致され、非公開の少年審判が行われます。少年事件では保護者(親権者)が重要な役割を果たすため、原則として親の同行が必要です。
保護者は審判への出席を求められるだけでなく、裁判所から生活環境調査や再犯防止策について意見を求められる場合もあります。また、裁判所が求めた場合には、保護者が「保護者意見書」を提出することもあります。
成人(20歳以上)の場合は親の同行義務なし
20歳以上の成人が起訴された場合、刑事裁判は原則として被告人本人の責任で行われます。そのため、親が裁判に同行する義務はなく、出席しなくても手続きに影響はありません。
ただし、家族が傍聴することは可能であり、精神的なサポートや社会的立場を示す意味で同席する家族も多いです。特に弁護人が情状証人として親に出廷を依頼するケースもあり、その場合は証人として出廷し証言を行うことになります。
情状証人としての親の役割
被告人が有罪となる見込みがある場合、裁判では量刑(刑の重さ)を判断する段階で「情状」が重要な要素になります。情状証人とは、被告人の性格や家庭環境、反省の程度などを裁判所に伝えるために出廷する人のことです。
親が情状証人となる場合、被告人が更生可能であることや再犯防止に向けて家族としてどう支援するかを陳述します。この証言は判決に大きな影響を与えることもあり、実際に執行猶予や減刑につながる例も存在します。
裁判への同行のタイミングとマナー
裁判所に同行する場合は、事前に弁護人と相談し、必要な手続きや服装、時間の確認を行うことが大切です。法廷は厳粛な場であるため、服装はスーツや落ち着いた服装を心がけ、私語やスマートフォンの使用は控えるべきです。
また、裁判所によっては入廷のための本人確認や傍聴券が必要な場合もあるため、当日の流れをあらかじめ確認しておくと安心です。
家族ができるサポートと心構え
親としては「裁判に出ても意味があるのか」と悩むこともあるかもしれません。しかし、本人の更生を後押しする家族の姿勢は、裁判官や検察官の心証に影響を与える重要な要素です。
また、被告人自身にとっても「支えてくれる家族がいる」と実感することは、大きな精神的支えになります。出廷に関わらず、可能な限り連絡を取り、生活面や社会復帰のサポートを継続していく姿勢が重要です。
まとめ:未成年は原則同行、成人は任意だが支援は有効
起訴されて裁判が始まる場合、未成年であれば親の同行は原則必要であり、家庭裁判所での審判に深く関わります。成人の場合は法的な義務はありませんが、情状証人や精神的支援の意味で同行する価値は大きいです。
家族の関与が、裁判やその後の人生にとって重要な意味を持つことを理解し、本人としっかり向き合いながら支援していくことが大切です。