交通事故の自賠責保険120万円の上限は「1人あたり」?同乗者との関係で注意すべきポイント

交通事故に遭った際の補償として、まず基本となるのが自賠責保険です。中でもよく誤解されがちなのが「120万円の上限」の意味。この上限は被害者一人ごとのものなのか、事故全体に対するものなのか。この記事では、同乗者がいるケースでの自賠責の補償範囲について、具体例を交えて解説します。

自賠責保険の補償内容と上限の考え方

自賠責保険では、対人事故による治療費・慰謝料・休業損害などの損害について、原則として1人あたり120万円が上限となっています。

つまり事故によって2人がケガをした場合、それぞれに対して最大120万円まで支払われる可能性があるということです。

実例:運転者と同乗者がともに通院するケース

たとえば、夫が運転し、妻が助手席に乗っていた状況で事故が発生し、2人とも通院が必要となったとします。この場合、夫と妻のそれぞれに対して、最大120万円ずつ、合計で最大240万円まで補償される可能性があります。

ただし、自賠責保険では運転者自身は補償対象外となることが多く、人身傷害保険や任意保険の補償を検討する必要があります。

自賠責が適用されるのは「被害者」のみ

自賠責保険は基本的に「被害者救済」を目的としているため、事故の加害者(たとえば単独事故での運転者自身など)には適用されないことがあります。

同乗者である妻が第三者的な立場でケガをした場合には適用されますが、運転者本人は適用されないケースが多いため、補償の手段としては任意保険を利用するのが一般的です。

慰謝料や治療費の内訳と計算方法

自賠責基準による慰謝料の計算は「1日あたり4,300円×実治療日数」で算出され、限度額の120万円に達するまで適用されます。

たとえば妻が60日間通院した場合、慰謝料は最大で
4,300円 × 60日 = 258,000円となります。これに治療費や交通費、休業損害などが加算され、トータルで120万円の枠内で支払われます。

運転者自身の補償を得るにはどうすればよいか

運転者自身がケガをした場合、自賠責保険だけではカバーされないため、人身傷害補償特約搭乗者傷害保険などの任意保険を確認してみましょう。

これらは自分や同乗者のケガを補償する内容であり、自賠責の不足を補う形で活用できます。

まとめ:自賠責の上限120万円は「1人ずつ」に適用

✔ 自賠責保険の120万円は「1事故あたり」ではなく「1人あたり」の限度額。
✔ 同乗者には適用されるが、運転者自身には基本的に適用外。
✔ 慰謝料・治療費・休業損害を含めて120万円まで補償。
✔ 運転者の補償は任意保険の補償内容を確認すること。

補償内容を誤解して手続きが遅れると、受け取れるはずの保険金を逃す恐れもあります。事故後は必ず保険会社や弁護士など専門家に相談し、適切に手続きを行いましょう。

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