交通事故を起こしてしまった場合、「全治何日」という診断書の記載が、行政処分の重さや違反点数に大きく影響することをご存じでしょうか。特に全治4週間、つまり28日〜30日前後の場合は、処分区分の境界にあたるため誤解も多く見られます。本記事では、交通違反に詳しい制度の仕組みに基づき、実際にどうなるのかを解説します。
行政処分の基準と「治療期間」の考え方
道路交通法における行政処分では、人身事故が発生した場合、負傷者の治療期間(全治日数)をもとに、加害者に対して違反点数が加算されます。ここで重要なのは、診断書に記載された「治療期間」が28日未満か28日以上かによって処分区分が変わることです。
例えば、軽傷事故で被害者が全治14日であると記載されていれば加害者の違反点数は3点程度ですが、28日以上の場合は6点など、大きな差が出ます。
全治4週間(28日~30日)なら違反点数は何点になる?
「4週間」は日数にすると28日~30日と微妙な範囲にあります。しかし、行政処分の基準は「28日以上か未満か」で線引きされます。つまり、診断書が「全治28日」または「全治30日」と明記されているならば、これは「28日以上」として扱われ、違反点数は基本6点が加算される可能性が高いです。
このため、免停の対象にもなりうるため注意が必要です(前歴がない場合でも6点で30日免停)。
実際に起こり得る処分の流れと警察の対応
交通事故が発生すると、まず警察が実況見分を行い、被害者から診断書が提出されます。診断書に「28日以上の加療を要する」と記載された時点で、公安委員会による行政処分の対象となり、違反点数が確定します。
特に治療期間により以下のように点数が加算されます:
- 全治15日未満:3点
- 全治15日以上~30日未満:6点
- 30日以上または重傷:9点以上
なお、責任割合や過失の程度によってはさらに変動する可能性もあります。
免停や免許取消のリスクを正確に知る
違反点数が6点以上の場合、無事故無違反でも30日免停が科されます。また、既に累積点数がある場合は、それに加算される形で免許停止や取消になることもあります。
したがって、事故後は迅速に保険会社や弁護士と相談し、警察の聴取にも誠実に対応することが重要です。
診断書の取り扱いと被害者側の対応にも注意
被害者が提出する診断書は、医師の判断に基づいて作成されますが、中には「やや長めに記載する」ケースもあるため、過失割合や加害者側の主張によって争点となることもあります。
このため、加害者側は示談交渉の段階で内容確認を行い、必要があれば意見書を医師に求めるなどの対応も検討すべきです。
まとめ:全治28日=30日以上と同等に扱われる可能性が高い
人身事故で診断書に「全治4週間」とある場合、それはほぼ間違いなく「28日以上」と見なされます。よって、加害者には6点の違反点数が加算され、免許停止の可能性が出てきます。
正確な対応には、警察庁の公式情報や、国土交通省の交通安全関連情報を参照することも有効です。