契約書未締結でもキャンセル料は発生する?外構業者とのトラブルを回避する法的視点と実務対処法

家づくりの中でも外構工事は重要な要素ですが、複数の業者と打ち合わせを進める中で、契約前のキャンセルを巡るトラブルが起きることもあります。本記事では「契約書にサインしていないがキャンセル料を請求された」ケースについて、民法上の契約の成立と業者側の主張の根拠、そして回避方法や今後の対応策をわかりやすく解説します。

書面がなくても契約は成立するのか?

日本の民法では、契約は「意思表示の合致」で成立します。つまり、書面にサインしていなくても、双方が「この条件で依頼する」と口頭やメールで合意していれば、契約が成立したとみなされることがあります。

しかし、今回のように明確な「発注依頼」の意思表示が確認できない場合や、業者側が一方的に進めていたのであれば、法的には契約未成立の可能性が高いです。

キャンセル料の根拠となる損害賠償請求の可否

業者が部材発注や職人手配を済ませていた場合、その費用を「損害」として請求するには、受注確定の意思表示があったことを証明する必要があります。

逆に依頼者側にその意思がない場合、または依頼内容を記録した文書・メールなどが存在しない場合、損害賠償請求の根拠は弱まります。口頭でのやり取りのみでは、水掛け論になるリスクが高く、業者側に不利な場合も少なくありません。

実務上よくある誤解とトラブルの事例

多くの外構業者では、「打ち合わせ=発注確定」と認識するケースがあります。たとえば以下のような事例があります。

  • ケース1:カラーや部材が確定した後、業者が発注し着工準備に入る
  • ケース2:「あとは契約書にサインして郵送しておいてください」と依頼された
  • ケース3:工事日程まで確定したがキャンセルを申し出た

このようなケースでは、業者が契約成立と誤解して準備を進めてしまうことがあります。

法的観点から見る依頼者の対応ポイント

以下のような対応を取ることで、不要なキャンセル料やトラブルを防ぐことができます。

  • 契約の意思がない場合は明確に伝える(メール等で記録)
  • 契約書の締結前に業者が動いている場合、そのリスクを了承していない旨を記録に残す
  • 万が一キャンセル料を請求されたら、証拠を集めて法的根拠を確認

また、国民生活センターや無料法律相談などを活用することで、冷静かつ法的な対処が可能です。

まとめ:契約書がなくてもトラブルになる、だからこそ事前の意思表示が重要

契約書にサインしていない場合でも、双方のやり取り次第では契約が成立しているとみなされる可能性があります。ただし、その立証責任は請求側にあるため、依頼者が明確に発注の意思を示していなければ、キャンセル料を支払う義務は原則として発生しません。

今後はすべてのやり取りを記録に残し、契約前に業者が準備を始める場合のリスク所在を明確にしておくことがトラブル防止につながります。

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