親が亡くなり、相続が発生した際に「遺産は兄弟姉妹で半分ずつ」と聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、相続には法律上のルールが定められており、その背景を理解することでトラブルを避けることができます。今回は、被相続人に子どもが2人だけいる場合の相続分について、法律的な観点から詳しく解説します。
法定相続とは?誰が相続人になるのかを確認
日本の民法では、被相続人が亡くなったときに財産を受け継ぐ法定相続人が明確に定められています。配偶者は常に相続人となりますが、今回のケースでは既に配偶者(父または母)が他界しており、相続人は子ども2人(長女と次女)のみです。
この場合、子どもは第一順位の法定相続人となり、他に相続人がいなければ2人で財産を相続します。
相続分は法律上は等分される
民法第900条では、配偶者がいない場合、子ども同士は法定相続分として等分に財産を分けると定められています。したがって、子どもが2人の場合、それぞれの取り分は2分の1ずつ、つまり50%ずつとなります。
たとえば、遺産が1,000万円あった場合、長女と次女はそれぞれ500万円ずつを相続するのが原則です。
遺言がある場合は内容が優先される
ただし、被相続人が遺言書を残している場合、その内容が優先されます。たとえば「長女に700万円、次女に300万円」と記載されていた場合、遺言が有効であればその通りに分けることになります。
なお、遺留分(法律で保障された最低限の取り分)が侵害されている場合には、相続人が「遺留分侵害額請求」を行うこともできます。
遺産分割協議で柔軟な配分も可能
法律上は半分ずつでも、実際の財産には不動産や株式など分けにくいものも多くあります。そのため、相続人同士で話し合って遺産の分け方を自由に決めることができます。
たとえば、「次女は家を相続し、長女は預金を相続する」など、協議の結果に基づいた柔軟な分割が可能です。協議の内容は遺産分割協議書として書面化し、全員の署名と実印を添える必要があります。
相続税が発生する場合もあるので注意
相続財産が一定額を超えると、相続税の申告や納税が必要になる場合もあります。基礎控除額は「3,000万円+600万円×相続人の数」で計算され、今回のケースでは相続人が2人なので4,200万円が控除の基準です。
この基準を超える財産がある場合には、税務署への申告や税金の支払いが必要ですので、税理士など専門家への相談も検討しましょう。
まとめ:2人の子どもは原則として平等に相続するが柔軟な対応も可能
親の死後に遺された財産は、法律上、子ども同士で等分されるのが原則です。ただし、遺言書の存在や話し合いの内容によっては、柔軟な分け方が可能です。重要なのは、家族全員でしっかりと話し合い、トラブルを未然に防ぐことです。相続は感情的な問題とも重なりやすいため、専門家のアドバイスも上手に取り入れながら進めましょう。