人身事故後の通院にかかる交通費・慰謝料は請求できる?正しい知識と実務対応を解説

交通事故の被害者となった場合、医療費以外にも発生するさまざまな費用や精神的苦痛があります。中でも見落とされがちなのが、通院にかかる交通費や、通院によって拘束された時間に対する精神的負担です。この記事では、これらが慰謝料や損害賠償の対象になるのかについて、法律的根拠や実務上の取り扱いを交えて詳しく解説します。

通院にかかる交通費は請求可能

交通事故の被害者が治療のために通院した際の交通費は、基本的に加害者側(保険会社)に請求することが可能です。バス・電車・タクシーの領収書を保管しておくことで、費用として損害賠償請求に含められます。

特に整形外科やリハビリなどの通院が必要と判断された場合、必要かつ相当な費用として認められます。ただし、タクシー利用など高額な移動手段を使う場合は、やむを得ない事情(怪我で歩行が困難など)を証明することが望ましいです。

通院時間の拘束は慰謝料に反映される

通院によって時間を拘束された精神的苦痛は、通院慰謝料の中に含まれるかたちで補償されます。この慰謝料は「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」のいずれかに基づいて算出されます。

例えば、自賠責基準では1日あたり4,300円(2020年改定)とされており、実際に通院した日数または治療期間の日数のうち少ない方×4,300円という計算になります。より高額な慰謝料を望む場合、弁護士に依頼して弁護士基準で請求することが一般的です。

当て逃げ事故でも加害者が100%過失なら請求は可能

当て逃げであっても、加害者が特定されており過失割合が100%である場合は、通常の人身事故と同様に損害賠償を請求できます。相手方保険会社が対応する場合、交通費や通院慰謝料の支払い義務も発生します。

加害者が見つからない場合でも、政府の自動車損害賠償保障事業(政府補償事業)を活用することで、一定の補償が受けられる可能性があります。[参照:国土交通省 自賠責保険制度]

精神的苦痛に対する謝罪や示談金の扱い

事故によって受けた精神的ショックや加害者の無責任な態度に対する不満は、金銭的な補償で全てが癒えるわけではありません。しかし、誠意ある対応がないことが慰謝料の増額要素と見なされる場合があります。

特に弁護士に依頼した場合は、加害者側の態度も交渉の材料として考慮されることがあるため、法的にも一定の意義があります。被害者として納得のいく対応を求めるには、第三者の専門家の助力を得るのが有効です。

具体的な請求のためにすべきこと

  • 通院時の交通費領収書を必ず保存
  • 通院日数と診断書をセットで記録・保管
  • 弁護士に相談し「弁護士基準」での交渉を検討
  • 相手保険会社との交渉内容を文書で記録

また、保険会社が提示する慰謝料が妥当か不安な場合は、交通事故に強い弁護士に無料相談することもおすすめです。

まとめ:交通費や通院の拘束も正当に請求できる

人身事故によって通院を余儀なくされた場合、交通費や精神的負担も「損害」として適切に補償される対象です。特に当て逃げのような悪質な事故では、被害者の立場をしっかり主張することが重要です。

後悔しないためにも、記録を残し、必要に応じて法的手段も視野に入れて対応していきましょう。

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