口止め料を巡るやりとりは罪に問われる?恐喝・教唆・共犯の可能性を解説

日常ではあまり耳にしない「口止め料」という言葉ですが、トラブルの場面では突然この言葉が現れることがあります。とくに、相手から「このことを誰にも言わないでほしい」と金銭を提示されたとき、受け取る側にも法的リスクがあるのか、あるいはさらなる金額を求めた場合にどんな罪に問われる可能性があるのか、法律の観点から丁寧に解説します。

そもそも「口止め料」とは何か?

一般に「口止め料」とは、特定の情報(不祥事や秘密など)を第三者に漏らさないようにする見返りとして支払われる金銭のことです。法的には明確な定義はないものの、その性質や目的によっては恐喝や賄賂の性質を帯びる可能性があります。

例えば、企業の不正を内部告発しようとする人に対して「お金を渡すから黙っていて」とするのは、情報隠ぺいの意図が強く、違法性が問われることもあります。

「〇〇円じゃ足りない」と返した場合に起きうる問題

相手から口止め料の提示があったとき、「もっと金額を増やして」と交渉する行為には注意が必要です。金銭的要求を強めることで恐喝罪に問われる可能性が出てきます。

特に相手が本来なら支払う必要のない金銭を、威圧的に、または弱みに付け込んで要求した場合、それは刑法249条の恐喝罪に該当する可能性があり、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることもあります。

お金を受け取っただけでも罪になる可能性は?

受け取る側が自主的に受領し、その結果として違法行為(たとえば犯罪の隠蔽など)に加担していると判断された場合、共犯や幇助、教唆罪として処罰対象になる可能性があります。

特に「それを黙っていてくれるならいくら払う」と持ちかけられたときに、それに同意して受け取ってしまうと、後に第三者が知った際、「一緒になって隠していた」とみなされかねません。

民事的リスクにも注意が必要

刑事だけでなく民事上でも、こうしたやりとりにはリスクがあります。たとえば後になって相手から「脅されてお金を渡した」と主張されると、不当利得や損害賠償請求の対象になることも。

また、内容によっては信用毀損や名誉棄損が絡む場合もあり、金銭だけで済まない深刻なトラブルへ発展することがあります。

法的トラブルを避けるためにどう対応すべきか

  • 1. 口止め料の提示を受けたら、その場で即答しない。
  • 2. 相手が違法行為をしている場合は、適切な機関(労基署、警察など)に相談する。
  • 3. 金銭を受け取ることで将来的に不利になるリスクがあることを認識する。
  • 4. 状況に応じて弁護士へ相談し、適切な対応を判断する。

まとめ:口止め料の交渉や受け取りには要注意

「口止め料」のやりとりには、双方にとって大きな法的リスクがあります。とくに、金額の上乗せを求めたり、積極的に受け取った場合、恐喝罪や共犯関係が成立する可能性もあるため、安易な判断は禁物です。

少しでも不安を感じた場合は、弁護士相談窓口などを活用し、冷静に対応することをおすすめします。

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