自己破産の申立て時に提出する家計簿は、裁判所や破産管財人が生活実態や支出の妥当性を判断するための重要な資料となります。そのため、「収入と支出を限りなくゼロにすれば通りやすい」といった誤解は危険です。
家計簿提出の目的とは?
自己破産の家計簿は、債務者の生活実態を把握するために必要です。無理な支出や浪費がないか、継続的に返済困難な状況か、生活費は妥当かなどを確認する材料になります。
したがって、実際に生活にかかっている費用を正確に記載することが求められます。ゼロに近い支出は「生活実態が不明」「虚偽申告の疑いあり」と判断される可能性があります。
収入や支出が少ない場合の注意点
収入や支出が本当に少ない場合は、その理由もあわせて説明することが重要です。たとえば「実家暮らしで食費・住居費が不要」「公的支援を受けている」などです。
例として、失業中で実家に居住し、生活費を親が一部負担している場合には、その事実を家計簿の備考欄や申述書などで記載すると信頼性が高まります。
支出のバランスと現実的な金額設定
支出項目は現実的な水準で書くことが大切です。たとえば、光熱費・通信費・交通費・日用品費など、日常生活にかかる費用は「ある程度」発生しているのが普通です。
生活保護基準や、家計調査などを参考に、極端に少なすぎない範囲で記載しましょう。
よくある誤解と虚偽申告のリスク
「ゼロに近い方が審査に通りやすい」という誤解に基づいて、実際より支出を抑えて記載するのは避けましょう。後で管財人や裁判所から追加説明を求められる場合があります。
さらに、虚偽申告と判断された場合には、免責不許可事由に該当する可能性もあるため、事実に基づいて記載することが大前提です。
家計簿の作成ポイントと例
家計簿は1~3か月分提出するよう求められるケースが多くあります。表形式で月ごとにまとめ、収入(給与・支援金等)と支出(家賃・光熱費・交通費・保険料・食費など)を記載します。
例:
項目 | 金額(円) |
---|---|
収入(アルバイト) | 50,000 |
住居費(実家暮らしのため0円) | 0 |
食費 | 10,000 |
光熱費(負担なし) | 0 |
通信費 | 5,000 |
交通費 | 3,000 |
日用品 | 2,000 |
弁護士への相談で安心を
家計簿の書き方に不安がある場合は、破産手続きに精通した弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は依頼者の生活状況をヒアリングし、正確かつ問題のない家計簿作成をサポートしてくれます。
まとめ:正直な記載と根拠の明示が鍵
自己破産の家計簿は、虚偽なく、実態に即して記載することがもっとも重要です。収支が少ない場合も、その理由を明確にし、実態を説明できれば問題はありません。ゼロに近づけることよりも、「なぜその金額になるのか」をきちんと説明できることが審査の鍵となります。