誹謗中傷や名誉毀損が広範囲にわたる場合、どのように警察へ届け出るべきか迷う方は少なくありません。特に複数の市町村で中傷行為が確認された場合、被害届をどこに出すべきか、またその効果範囲について正しく理解しておくことが重要です。本記事では、複数地域にまたがる誹謗中傷問題に対しての正しい対応方法を解説します。
誹謗中傷や名誉毀損とは?
名誉毀損とは、公然と事実を摘示し、他人の社会的評価を下げる行為を指します。口頭でも文書でも成立し、真実であっても違法とされる場合があります。誹謗中傷はこれに限らず、相手を侮辱・嘲笑する言動全般を指し、刑法上の「侮辱罪」などに該当することもあります。
例として、特定の人物について「○○は詐欺師だ」と根拠なく言いふらす行為や、複数人に同様の中傷を伝播させるような行動が含まれます。
被害届はどの警察署に出せばいい?
原則として、被害者の住所地・加害者の住所地・犯行が行われた場所のいずれかを管轄する警察署に届け出ることができます。つまり、複数の市で被害が確認されていたとしても、必ずしも複数の警察署に届け出る必要はありません。
たとえば、被害者がA市に住んでおり、B市・C市でも中傷があった場合、A市の警察署に被害届を1件出すことで、警察側が必要に応じて他地域の捜査を行うことが可能です。
複数の警察署に届け出るとどうなる?
必要以上に複数の署に個別に被害届を出すと、事件が分割されてしまったり、情報が分散して対応が遅れる可能性があります。そのため、最初は1つの警察署にまとめて経緯を説明するのが得策です。
仮に警察署の判断で他署と連携する必要があると判断されれば、内部で照会・連携して動いてくれる場合が多いです。
被害届提出時に準備しておくべき証拠
誹謗中傷・名誉毀損は証拠がなければ立証が困難です。以下のような資料を準備しておくとよいでしょう。
- 中傷発言が録音・録画された音声や映像
- 発言が記載されたSNSや掲示板のスクリーンショット
- 中傷された日時・場所・関係者を記録したメモ
- 目撃者の証言や連絡先情報
特に第三者に明確に伝わる証拠があることで、警察も動きやすくなります。
被害届の受理後に警察が行うこと
警察が受理すると、証拠や供述に基づいて捜査を開始し、場合によっては加害者への事情聴取や警告、さらには送致(検察への書類送付)に至ります。
なお、民事での名誉毀損訴訟を別途進めることも可能です。刑事と民事の両輪で対応することも視野に入れておくとよいでしょう。
まとめ:複数地域の中傷でも一カ所への届け出で対応可能
複数の市で誹謗中傷が広がっている場合でも、被害届は1つの警察署にまとめて提出することが可能です。被害者の居住地や最初に被害を受けた場所が最も適切な選択となります。しっかりと証拠を整え、冷静に対応すれば、複数地域にわたる被害にも警察が対応してくれる可能性が高まります。
不安が大きい場合は、法テラスや弁護士の無料相談を活用しながら、スムーズな手続きを進めていきましょう。