交通事故が発生し、同乗者が病院で治療を受けた場合、「人身事故」として扱われる可能性があります。しかし、すべての人身事故が運転手に違反点数として加算されるわけではありません。本記事では、自然災害や不可抗力による事故で同乗者がけがをしたケースにおいて、違反点数や行政処分の対象になるかどうかを解説します。
人身事故と違反点数の基本的な関係
人身事故とは、交通事故によって人が負傷・死亡した事故のことで、警察への届け出が必要です。通常、人身事故として扱われると、加害者側の運転手には違反点数が加算されることが多く、反則金や行政処分が発生します。
しかし、この「加害者」の定義には注意が必要で、運転手に過失がある場合に限って処分対象となるのが基本です。
自然災害や不可抗力による事故の場合
本件のように「道路上に突然木が倒れてきて急ブレーキをかけた」ようなケースは、一般に不可抗力とされることが多いです。不可抗力とは、運転手の注意義務を尽くしても回避できなかった自然現象や突発的な事故を指します。
このような場合、運転手に過失がなければ、交通違反や違反点数が発生することは基本的にありません。
同乗者が受傷して診断書を提出した場合の影響
警察が診断書の提出を求める理由は、事故の被害内容を正確に把握し、人身事故としての法的処理を行うためです。診断書の提出=違反点数が必ず加算されるというわけではありません。
診断書が提出されても、事故原因が「不可抗力」と判断されれば、行政処分の対象外とされ、運転手に違反点数が付かない可能性があります。
もし違反点数が付く場合、その内容と影響
仮に不可抗力と認められず、運転手に過失があると判断された場合は、事故の内容によって以下の点数が付く可能性があります。
- 軽傷事故:2点
- 中等傷以上:3〜6点
- 重傷事故・死亡事故:13〜20点以上
運転免許の停止は6点以上で30日〜60日、累積点数や過去の違反歴によっては免許取消もあり得ます。
安全運転義務違反などが問われるケースもある
自然災害や突発的な事象でも、運転手に速度超過や脇見運転などがあれば「安全運転義務違反」として扱われ、違反点数(2点)+反則金の対象になることがあります。
つまり、「木が倒れてきた」という外的要因だけでなく、事故発生時の運転状況も重要な判断材料になるのです。
まとめ:今回のケースでは違反点数が付かない可能性が高い
道路上に突然倒れた木を避けようと急ブレーキをかけた結果の事故であり、同乗者の怪我が軽度、かつ運転手に過失がないと判断されれば、違反点数が加算されることは基本的にありません。
警察には事実経過を正確に説明し、診断書も提出した上で、不可抗力である旨を主張することが大切です。心配な場合は行政処分に強い交通専門の弁護士に相談するのも良いでしょう。