借用書における「かつ」の意味とは?条件文の解釈と注意点をわかりやすく解説

お金の貸し借りを明文化する借用書では、トラブル防止のために細かな文言が定められます。なかでも、「支払いを◯回以上怠る、かつその金額が×円に達した時」といった表現は、条件成立のタイミングを左右する重要なポイントです。本記事では、こうした借用書における「かつ」の意味と、その条件文をどう解釈すべきかを具体例を交えて解説します。

「かつ」は両方の条件を満たす必要がある

契約書や借用書における「かつ」という表現は、論理演算でいう「AND」にあたります。つまり、「◯回以上の遅延」と「×円以上の未払い金額」という2つの条件が同時に成立した場合にのみ、元利金の一括請求などの効力が生じるということになります。

たとえば、「3回以上の支払い遅延、かつ10万円以上の未払い」と記されている場合、3回遅れていても未払いが9万円であれば、契約違反とはならない可能性が高いという解釈になります。

「または」と「かつ」の違いに注意

ここで重要なのが、「または(または/もしくは)」と「かつ(および)」の違いです。「または」はいずれか一方の条件を満たせば成立しますが、「かつ」は両方が同時に成立しなければいけません。

この違いを理解していないと、思わぬ誤解や権利の行使遅れにつながるため、契約書を作成する際は明確に意図を記述することが大切です。

「◯回以上」とは連続か累積か?

借用書で「◯回以上の遅延」とされている場合、それが「連続での遅延」を指すのか「累積での遅延」を指すのかは、文言や文脈によって解釈が分かれます。通常は特に記載がなければ「累積(通算)」と見なされる傾向にあります。

そのため、たとえば12ヶ月の返済期間中に1ヶ月目と3ヶ月目と5ヶ月目に遅延があった場合、それが合計3回であれば「3回以上の遅延」に該当する可能性があります。

「×円に達した時」とは常時監視が必要?

借用書の条件に「金額が×円に達したとき」という記述がある場合、債権者は返済状況を都度確認する必要があります。これは、返済の遅延が徐々に累積して×円に到達する可能性があるためです。

一方で、条件の金額に到達していない場合には、いくら支払いの遅延回数が多くても、元利金の一括請求や契約解除を主張することは難しくなります。

実務上の注意点と記載例

実務では、誤解を防ぐために次のような具体的記載を行うのが望ましいです。

  • 「連続3回の支払いを怠った場合」
  • 「通算で3回以上の支払い遅延、かつ遅延金額の合計が10万円に達した場合」
  • 「支払期日から30日以上経過したとき」など

こうした具体性のある文言にすることで、後の紛争を防止できます。

まとめ:借用書の文言は正確に理解・記載することが重要

借用書における「かつ」は、複数の条件が同時に満たされた場合に効力が生じることを意味します。「回数」と「金額」など複数の要件を同時に確認する必要があるため、契約締結時に両者がその理解にズレがないよう明文化することが非常に重要です。

不安な場合は、弁護士などの専門家に借用書のチェックを依頼するのも一つの手段です。契約文言の誤解は大きなトラブルにつながるため、慎重に対応しましょう。

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