インターネット上で詐欺行為や違法コンテンツを見つけた際、多くの人が「インターネット・ホットラインセンター(IHC)」へ通報することを選びます。しかし、通報したにもかかわらず何の音沙汰もない場合、「通報は無視されたのでは?」と感じる方も少なくありません。この記事では、詐欺サイトを通報した際の実際の流れと、ホットラインセンターの対応について詳しく解説します。
インターネット・ホットラインセンターとは
インターネット・ホットラインセンター(IHC)は、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)が総務省の委託を受けて運営している通報窓口です。主な目的は、インターネット上における違法・有害情報の収集と、警察やプロバイダへの通報連携です。
詐欺サイトの通報も受け付けていますが、すべての通報が処理対象になるわけではありません。一定の判断基準に基づき、対応可否が決定されます。
通報が「事案に該当しない」と判断されるケース
IHCが対応するのは、以下のような「違法または違法の可能性が高い」情報に限られます。
- 児童ポルノやリベンジポルノ
- 詐欺行為(明確な根拠が必要)
- 殺人予告・違法薬物の販売など
たとえば、詐欺かどうかの判断がつかないECサイトや、単に怪しいだけでは証拠不十分とされ、事案に該当しない可能性があります。
このような場合、IHCは通報内容を「参考情報」として記録するにとどまり、プロバイダや警察には連携されません。
通報後に通知や返信はあるのか?
IHCは基本的に通報者へ個別の回答や進捗通知を行っていません。そのため、通報後に連絡がない=放置されたというわけではないのです。
ただし、過去の実例では、通報から数日〜数週間でサイトが閉鎖された事例もあり、非公開で処理が進められることもあります。
詐欺サイトの通報における有効なポイント
効果的に対応してもらうためには、通報時に以下のような情報をできる限り具体的に記載することが大切です。
- 詐欺の手口(例:偽ブランド販売、支払い後の連絡なしなど)
- 被害内容(自分または他人が被害に遭った具体的な証拠)
- 対象URL、スクリーンショット、振込先情報など
たとえば「SHEINを装った偽サイトで注文後連絡が途絶え、調べたら同様の被害報告がSNS上に複数見られた」といった記述があると、調査対象として優先されやすくなります。
IHC以外に通報・相談すべき機関
ホットラインセンター以外にも、詐欺被害や悪質サイトに対して通報可能な窓口があります。
- 警察庁 サイバー犯罪対策
- 国民生活センター(消費生活相談)
- 金融庁(不正取引サイトなど)
- ドメイン管理団体やホスティング会社
IHCで対応されなかった場合でも、これら他機関へ複数通報することで対応が進むケースもあります。
まとめ:通報は無駄ではない。判断と根拠がカギ
インターネット・ホットラインセンターに詐欺サイトを通報しても、「事案に該当しない」と判断されると実質的な対応はされません。しかし、それは決して「放置」ではなく、法的・技術的な基準に則った処理なのです。
より確実に対応されるためには、通報内容に具体性と証拠性を持たせることが重要です。必要に応じて警察や関係機関にも同時通報を行い、被害拡大を防ぎましょう。