ハンコ注射(種痘)による後遺症と見舞金制度:知っておきたい補償の基本

昭和期に実施されていた「ハンコ注射(種痘)」は、天然痘の予防接種として全国的に行われ、多くの人が腕に特有の痕を残しています。近年、法律事務所などが見舞金請求の案内を出しているのを見かけることも増えましたが、果たしてハンコ注射を受けたこと自体で補償の対象となるのでしょうか?この記事では、制度の仕組みや対象者、請求方法について解説します。

そもそも「ハンコ注射(種痘)」とは?

「ハンコ注射」とは、種痘(天然痘ワクチン)の接種方法の通称で、スタンプのように押し付ける特殊な器具で皮膚にワクチンを接種します。1976年以前に日本全国で実施されていましたが、現在は天然痘が根絶されたため、接種は行われていません。

多くの人が左腕に数個の丸い跡が残っており、これが「ハンコ注射の跡」として広く知られています。

種痘による健康被害と補償制度の仕組み

種痘に限らず、予防接種による重い副反応(障害や死亡)が発生した場合、国による予防接種健康被害救済制度の対象となる可能性があります。この制度では、医学的因果関係が認められれば、見舞金や医療費、障害年金などの補償を受けることができます。

ただし、ハンコ注射を受けただけでは補償対象にはなりません。「種痘による重い副反応の後遺症や障害」が残っていることが必要です。

補償の対象になるのはどんな人?

予防接種健康被害救済制度の対象となるのは、以下のようなケースです。

  • 接種後に重いアレルギー反応(アナフィラキシー等)を起こした
  • 接種後に慢性的な疾患が残った
  • 接種後に入院や長期療養が必要になった

これらの症状が接種との因果関係で医学的に認められた場合、厚生労働省を通じて見舞金や障害年金などが支給されることがあります。

「法律事務所の宣伝」はどう見るべきか

一部の法律事務所が「昔の予防接種で見舞金がもらえるかも」と宣伝するケースがありますが、その多くは「健康被害が出ている人に限る」ものです。ハンコ注射の痕があるだけで金銭補償がもらえるわけではなく、明確な医療被害と証明が必要です。

ただし、過去に重い副作用があったものの、当時は申請していなかった方が今からでも申請できる可能性はあるため、不安がある方は行政窓口か信頼できる弁護士に相談するとよいでしょう。

申請の流れと相談先

予防接種による健康被害の申請は、以下の手順で行います。

  1. かかりつけ医で予防接種との関連性を診断してもらう
  2. 市区町村の保健所・役所に申請書類を提出する
  3. 厚生労働省の審査を受ける

申請にあたっては、厚生労働省の健康被害救済制度のページを参考にしてください。

まとめ:補償対象には明確な条件がある

「ハンコ注射を受けたことがある=補償が出る」というわけではありません。補償の対象になるのは、接種後に明確な健康被害が発生し、因果関係が認定された場合に限られます。現在でも申請が可能な場合があるため、該当すると思われる方は、お住まいの自治体窓口または専門家へ相談してみましょう。

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