フリーランスや小規模事業者にとって、納品後の未払い問題は深刻です。特に少額の売掛金の場合、弁護士に依頼するのも躊躇してしまい、結果的に泣き寝入りを選ぶ方も少なくありません。しかし、実際にはコストを抑えて回収を試みる手段も存在します。
口頭契約でも契約は成立する
日本の民法では、契約は書面がなくても成立します。たとえ口頭のみの約束であっても、注文を受け、実際に作業を行ったという事実があれば、契約は成立しているとみなされます。撮影当日の証拠(メール履歴、請求書、納品データなど)を保管しておくことは非常に重要です。
支払いの約束が4月と明確にされていた場合、期限を過ぎた時点で債務不履行と判断される可能性があります。
催促方法を工夫してみる
メールを何度送っても返答がない場合、内容証明郵便を使って正式に請求することを検討しましょう。内容証明は「いつ・誰が・どんな内容で」送ったかを証拠として残せる郵便サービスで、相手に心理的なプレッシャーを与える効果もあります。
記載内容は、「支払い期限」「未払い金額」「支払い方法」などを明確に記述することがポイントです。
少額訴訟という手段
弁護士を通さずに自力で法的手続きを行いたい場合、「少額訴訟」という制度が利用できます。60万円以下の金銭トラブルに対応しており、手続きも簡易です。地方裁判所の窓口で相談すれば、必要書類の作成方法も教えてもらえます。
例として、3.5万円の売掛金を請求する場合、印紙代や郵送費などでおよそ数千円程度の実費で済むことが多く、回収成功時にはコストも相手に負担させることが可能です。
支払い意思があるかを見極める
相手が一時的に支払い能力がない場合、分割支払いの提案や期限の延長も視野に入れましょう。反応があるかないかで今後の対処が大きく変わってきます。完全に無視されている場合は、悪意があると判断されても仕方ありません。
この段階では感情的にならず、あくまで冷静かつ客観的に証拠を積み上げ、記録に残すことが大切です。
無料相談やADRの利用
弁護士への依頼が難しい場合でも、法テラスなどの無料法律相談を活用する方法があります。また、「日本司法支援センター」や商工会議所が実施するADR(裁判外紛争解決手続き)を利用すれば、調停を通じた回収も可能です。
コストを抑えつつ第三者を介して解決を図ることができるため、交渉に行き詰まった際の有効な選択肢となります。
まとめ:泣き寝入りせず、行動を起こそう
少額だからといって諦める必要はありません。相手にプレッシャーを与える正当な手段は複数存在し、法的な知識や制度を知っていれば、費用を最小限に抑えて回収が可能です。まずは証拠を整理し、内容証明郵便から試してみましょう。それでもダメな場合は、少額訴訟やADRも選択肢として検討する価値があります。