近年、正社員から業務委託への契約変更を一方的に求める企業が増えており、とくに中小企業やブラック企業と呼ばれる職場でその傾向が顕著です。この記事では、理不尽な契約変更の背景と、それによって生じる法的リスク、さらに回避策について解説します。
正社員から業務委託への切り替えの背景
経営側が社員を業務委託に切り替える理由は、労働法上の責任や社会保険費用の負担を避けるためです。とくに問題が起こった社員に対して「責任は追及したいが雇用の義務は負いたくない」という経営判断が働くケースがあります。
今回のように「不正利用」として処罰的な言動を示しながら、業務は継続させる形で業務委託に切り替えるのは、企業側が労働者に責任だけを残し、権利を奪う典型的な搾取的手法です。
業務委託に潜むリスクと刑事責任の可能性
業務委託契約では、形式上は「対等な契約関係」ですが、実態としては元の指揮命令が残る場合があり、いわゆる「偽装請負」とされる可能性もあります。この状態が続くと、業務内容で問題が起きた際にすべての責任を一方的に請け負わされるリスクがあります。
たとえば、経費処理や購買決済において違法性があると判断された場合、指示を受けていたにも関わらず「業務委託だから自己責任」とされ、刑事責任を問われる可能性すら否定できません。
「不正」とされた行為が不当な言いがかりである場合
質問にあるように、社内で共有利用されていたシステム利用料の支払いが不正だとされた事例では、経営側の恣意的判断による懲罰である可能性があります。このようなケースでは、当該判断の正当性を労働局や弁護士を通じて確認することが重要です。
決済権限内での購入であり、事前に相談していた証拠(メールなど)がある場合、不正利用としての責任を問うのは無理があると言えるでしょう。
業務委託契約に切り替わった場合の自衛策
業務委託で働く場合は、以下のポイントに注意しましょう。
- 契約書の内容を確認:納品物、報酬、責任範囲を明確にし、不利益がないかをチェック。
- 口頭指示は記録:業務上の指示や合意はメールなどで必ず文書化する。
- 守秘義務や損害賠償条項の確認:不当な責任を負わされる契約内容が含まれていないか。
また、不信感がある企業と関わるリスクを最小限にするには、次の就業先を早めに探すことも有効です。
実際の事例と法的アプローチ
ある中小企業で、業務委託として働いていた元社員が、業務上のミスを理由に損害賠償を請求された事例がありました。しかし、実際は会社側の指示で行った内容であったため、弁護士の介入により請求は退けられました。
このように、業務委託であっても不当な請求に対しては法的な反論が可能です。[参照]
まとめ:理不尽な契約変更は慎重に対処を
✅ ブラック企業での業務委託化には、経営者側の都合がある
✅ 正社員からの切り替えは、責任転嫁とコスト削減目的の可能性が高い
✅ 契約内容の確認と証拠の保存が、将来のトラブル回避に重要
✅ 少しでも疑念がある場合は、労働問題に詳しい弁護士への相談を推奨
ブラックな経営判断に巻き込まれないためにも、自衛意識を高く持ち、慎重に対応することが不可欠です。