交通事故で自分に過失がない「10対0」のもらい事故に遭った場合、保険会社から「しっかり通院してください」と勧められることがあります。実際、毎日病院に通うと慰謝料や休業損害が高額になることもありますが、それには正しい知識と対応が不可欠です。この記事では、通院日数と慰謝料・休業損害の関係や注意点を詳しく解説します。
10対0の事故とは?自分に過失がないケース
交通事故では、加害者と被害者の過失割合が重要になります。「10対0」とは、加害者が100%悪いとされ、被害者に一切の落ち度がない状態です。したがって、被害者は治療費・慰謝料・交通費・休業損害などを全額請求可能です。
たとえば信号待ちで停車中に後ろから追突されたケースなどがこれに該当します。東京海上日動など大手の保険会社もこのルールに従って対応しています。
通院日数によって変わる「慰謝料の相場」
慰謝料は、精神的苦痛に対して支払われる損害賠償金で、通院1日あたり4,300円〜8,900円が相場です(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準により異なります)。
たとえば自賠責基準では、通院日数×4,300円もしくは通院期間×2×4,300円のいずれか少ない方が適用されます。毎日通えば100日で最大43万円、弁護士基準なら60万円以上も可能になります。
休業損害も重要な補償のひとつ
事故で働けなくなった場合に発生するのが休業損害です。会社員であれば、1日あたりの給与÷30日×休業日数が目安となります。自営業や主婦も算定方法があります。
たとえば月給30万円の会社員が30日間休めば、約30万円の補償が得られる計算です。病院に通う時間帯だけ半休を取った場合でも、その分が補償対象になる可能性があります。
保険会社が「通院してください」と勧める理由
実は保険会社が「たくさん通院してください」とアドバイスするのは被害者の損を防ぐためです。なぜなら、通院日数が少ないと「本当に痛いのか疑われる」リスクがあるからです。
また、診断書の継続性が損なわれると、後遺障害認定や慰謝料請求が難航することもあります。毎日は通えなくても、整骨院やリハビリクリニックとの併用で記録をつけることが大切です。
実例:半年通院で100万円近く受け取れたケース
ある20代男性は10対0のもらい事故で、むちうち症と診断され毎日通院。6か月後に慰謝料と休業損害を合わせて約95万円を受け取ったそうです。
ただし、「通えばお金がもらえる」と思って不必要に通院すると不正請求扱いになる恐れがあります。医師の指導のもと、必要な治療を真摯に受けることが基本です。
慰謝料請求で損をしないためにやるべきこと
- 診断書や通院記録をきちんと保管
- 領収書や交通費明細をまとめておく
- 定期的に医師の診断を受けて継続性を保つ
- 後遺障害申請が必要なら弁護士に相談
また、弁護士基準で請求する場合は、弁護士費用特約が使えるかも確認してください。
まとめ:通院日数と慰謝料・休業損害は正当な権利
10対0の交通事故において、通院による慰謝料や休業損害は被害者が正当に受け取れる補償です。「毎日通って100万円近い慰謝料をもらえる」というのは正しい知識と行動に基づいてこそ実現します。
保険会社や医師の助言を受けながら、記録と証拠をしっかり残し、正当に補償を受け取りましょう。