離婚時の持ち家を息子に譲りたいときの財産分与と法的手続きのポイント

離婚時に持ち家の扱いをどうするかは多くの家庭で悩ましい問題ですが、「息子に家を譲りたい」という希望がある場合、法律や税務の視点から慎重に対応する必要があります。この記事では、実例を交えながらその手続きをわかりやすく解説します。

財産分与の基本と共有持分の整理

離婚時には、婚姻中に築いた財産を原則として「共有財産」として分け合う必要があります。たとえ持ち家の購入時に頭金の割合が偏っていても、その後のローン返済を共有資産から行っているなら、全体の価値に応じた分与が基本です。

今回のように、ご主人が6割、奥様が2割程度負担していても、残りの2割がローン返済中であれば「ローン付き不動産」として評価され、資産価値から債務を差し引いた残余価値をどう分けるかが焦点になります。

未成年の息子へ家を譲ることは可能か?

未成年の息子に家の所有権を移転すること自体は可能ですが、以下の点に注意が必要です。

  • 親権者の同意が必要
  • 不動産登記を行う場合、法定代理人としての署名・押印が必要
  • 固定資産税の納付者は所有者=息子になりますが、実務的な支払いは親が担うことになります

また、親が子に不動産を生前贈与する形になると、贈与税が発生する可能性があるため、贈与税の非課税枠を活用するか、相続時精算課税制度を検討することも重要です。

妻の同意が必要な理由とその方法

持ち家が夫婦の共有財産である場合、どちらか一方の意思のみでは譲渡や売却はできません。そのため、妻の明確な同意と署名が必要になります。

そのためには、公正証書を用いた合意書の作成や、不動産登記変更に必要な権利放棄の同意書が必要です。弁護士や司法書士に依頼することで、法的に効力のある形で手続きを進められます。

生前贈与と遺言書、どちらを選ぶべきか

生前贈与で家を息子に移す場合、贈与税の課税がされる可能性がありますが、110万円までの非課税枠を毎年利用することもできます。また、相続時精算課税制度を選択すれば、2500万円まで非課税で贈与することができます。

遺言書による場合、死後に家を譲る形になります。法定相続人の遺留分に注意が必要であり、妻の遺留分(法定相続分の1/2)が侵害されないように設計する必要があります。専門家による遺言書の作成が望ましいです。

手続きで注意すべき税金や登記

家を譲る際には以下のような費用・手続きが発生します。

  • 不動産取得税(贈与時)
  • 登録免許税
  • 司法書士報酬(登記変更)
  • 贈与税や相続税の申告

また、住宅ローンが残っている場合は、金融機関の承諾も必要になります。ローンの名義を移すことは一般的に難しく、名義変更後もご主人が返済義務を負う場合があります。

まとめ:家を息子に譲るには妻との合意と専門家の関与がカギ

離婚時に家を息子に譲りたいという希望は、財産分与・法的手続き・税務の視点から適切に設計すれば実現可能です。ただし、妻の同意と法的に正当な手続き、公正証書や遺言書の作成が前提となります。

最も重要なのは、夫婦間での合意形成と、専門家によるサポートの活用です。家族の未来を考えた、納得できる選択を目指しましょう。

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