割引価格の表示は法的に問題ない?二重価格表示の注意点を解説

店舗でよく見かける「割引価格」の表示。特に賞味期限が近い食品などでは、元の価格にシールなどで割引価格を貼り付けて販売するケースも一般的です。しかし、その表示方法が「二重価格表示」として景品表示法に抵触しないか、心配になる方も多いでしょう。本記事では、元の価格を見せたり、割引後の価格を表示したりする場合の法的な注意点について解説します。

そもそも二重価格表示とは?

二重価格表示とは、「元の価格」と「割引後の価格」の両方を表示することで、あたかも今が特別に安くなっているかのように見せる表示手法です。これは景品表示法の「有利誤認」に該当する可能性があるため、消費者庁も厳しく監視しています。

例えば、「通常価格1,000円 → 今だけ500円」といった表示は、元の価格が実際に1,000円で販売されていた期間が一定期間以上なければ、不当表示となることがあります。

割引シールで上に価格を貼った場合の扱い

よくあるケースとして、元の価格のラベルの上に割引価格のシールを貼ることがあります。この場合、元の価格が完全に見えなければ問題になることは少なく、「今の販売価格」が明示されていれば基本的に合法です。

しかし、消費者から「元はいくらだったのか?」と聞かれて答える際には、あくまでも過去の価格であったことを明示して説明すれば問題ありません。逆に「元はこの価格でした!」と強調して値引きの印象を操作するのは避けた方がよいでしょう。

元の価格も見えるようにしている場合は注意が必要

もし元の価格が割引後の価格と一緒に並記されている場合(例:元1,000円 → 今500円)、この表示は二重価格表示とみなされる可能性があります。特に元の価格が直近で実際に販売されていなかった場合、景品表示法違反とされることがあります。

表示する際は、「元の価格で直近1ヶ月以上販売していた」などの条件を満たす必要があります。これを満たしていない場合には「比較対象価格を不当に掲示している」と判断されるリスクがあります。

法的に安全な表示方法とは?

最もトラブルを避けやすいのは、「今の販売価格だけを明確に提示し、元の価格は見せない」ことです。シールなどでしっかり上から貼ることで、誤解を生みにくくなります。

もし元の価格を表示する必要がある場合には、「参考価格」や「旧価格」などの表記を付け加えることで、誤認を避ける工夫が必要です。加えて、いつまでその価格で販売していたのかを店舗で記録・管理しておくと、後の指摘にも対応しやすくなります。

実店舗での具体的な対応例

あるスーパーでは、賞味期限が近づいた商品に「●月●日まで通常価格300円で販売していました」という表示を加えたうえで、「今だけ200円」と価格変更を行っています。このような表示は、過去の販売実績を明確にし、適切な根拠を持って割引しているため、法的にも問題になりにくいです。

一方で、「1,000円→500円」など単純な並記だけの場合は、消費者庁からの指導を受けた事例もあるため注意が必要です。

まとめ:誤解を招かない表示が信頼につながる

小売店において価格表示は集客の重要な要素ですが、景品表示法違反にならないよう注意深く行う必要があります。元の価格を表示する際は、実際にその価格で販売していた根拠を明確に持ち、「今の価格」が誤認を招かないようにすることが大切です。

少しの工夫で、消費者にも信頼され、法的なリスクも回避できる表示が可能になります。店舗運営の現場でも、日々の価格表示を今一度見直してみてはいかがでしょうか。

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