交通事故に伴う通院期間は、保険金の算定や慰謝料請求などにも影響を与える重要な要素です。特にリハビリの終了日と診察日がずれている場合、どこまでを通院期間として捉えるのかは迷いやすいポイントです。本記事では、その判断基準や実務での取り扱いについて詳しく解説します。
通院期間は原則「初診日から最終通院日」まで
通院期間とは、一般的に「事故後の初診日」から「最後に通院した日」までの期間を指します。したがって、6月に通院を開始し、最終通院日が8月5日であれば、通院期間は2ヶ月と5日とされるのが基本です。
この期間はあくまで通院の実績に基づくため、リハビリが7月に終了していても、その後の診察が医師の判断により必要であった場合は、通院としてカウントされます。
慰謝料算定における「通院期間」と「実通院日数」
自賠責保険の慰謝料は「通院期間(最大6ヶ月)」と「実通院日数×2」のいずれか少ない方に対して、1日あたり4,300円(2024年時点)で支払われます。つまり通院の実績がある限り、最終通院日まで期間として評価されます。
例えば、6月1日〜8月5日までに10回通院した場合、通院期間は66日ですが、10日×2=20日となるため、20日分が慰謝料計算の基礎となります。
リハビリ終了後の診察でも通院とみなされる理由
リハビリは治療の一部であり、診察はその後の経過観察や症状固定の判断にも関わります。そのため、リハビリ終了後であっても、医師が「治療の一環」として指示した通院は保険上の通院期間に含まれます。
もしも、リハビリ終了後に自己判断で通院をやめた場合、その後の通院日が認められないケースもあるため、必ず医師の指示を仰ぎましょう。
症状固定日との違いに注意
「症状固定」とは、治療によってそれ以上の改善が見込めなくなった状態を指します。この日以降は後遺障害認定の対象期間に入り、原則として通院慰謝料は支払われません。
ただし、症状固定日は通院日とは異なることもあるため、保険会社に提出する診断書には医師によって正確に記載してもらう必要があります。
保険請求での記録の取り扱い
保険会社は、診断書・診療報酬明細書(レセプト)などを基に通院日を確認します。実際に受診していない空白期間はカウントされないため、定期的な通院が重要です。
たとえば1ヶ月半ほど空いてから1回だけ通院した場合、その後の通院が「治療目的」と認められれば問題ありませんが、単なる相談や確認だけだと認定されにくい可能性があります。
まとめ:通院期間は実績重視。リハビリ後の診察も有効に活用しよう
- 通院期間は初診日から最終通院日まででカウント
- リハビリ終了後の診察も医師の指示なら通院扱い
- 慰謝料計算は「通院期間」より「実通院日数×2」との比較で決まる
- 症状固定後は慰謝料の対象外なので注意
治療の流れや医師の指示を正しく理解し、通院の記録をしっかり残しておくことが、保険請求や損害賠償において非常に重要です。