知人や友人にお金を貸したが、約束通りに返済されない──このようなトラブルは少なくありません。特に「分割で貸している」「借用書がある」など一定の証拠がある場合には、少額訴訟制度を利用してスムーズに解決する手段があります。本記事では、15万円を月割で貸した事例をもとに、少額訴訟の活用方法と注意点について詳しく解説します。
少額訴訟とは何か?通常の訴訟との違い
少額訴訟とは、60万円以下の金銭請求に関して簡易裁判所で迅速に処理できる制度です。原則1回の期日で判決が出され、訴訟費用も比較的安価なのが特徴です。
通常訴訟よりも手続きが簡略化されており、法律の専門家でなくても自分で申立て可能です。例えば、貸金や家賃未払い、未払い給与などに対して使われることが多いです。
分割貸付の場合も少額訴訟で請求できる?
今回のように「月5万円ずつ3回で15万円を貸したが、返済が滞っている」というケースでも、少額訴訟を使って請求できます。訴訟の対象は、すでに発生している未払金(たとえば10万円分)です。
将来の支払い(次月分など)については訴訟対象外になることもあるため、現時点で支払期日を過ぎている金額を明確にしておきましょう。
借用書や免許証写真は証拠になるのか
借用書がある場合は非常に有利です。以下のような証拠があれば、訴訟時に提出できます。
- 借用書(手書き・電子でも可)
- LINEやメールでのやり取りのスクリーンショット
- 相手の免許証コピー
- 送金記録(振込明細・PayPay履歴など)
証拠がそろっていれば、裁判官にとっても判断がしやすくなります。
少額訴訟の申立方法と費用
申立ては貸主の住所地を管轄する簡易裁判所で行います。必要書類は以下のとおりです。
- 訴状
- 証拠資料
- 収入印紙(請求額に応じて3000円程度)
- 郵券(切手)
訴状の書き方に不安がある場合は、裁判所の窓口や法テラスに相談すると良いでしょう。
勝訴後の強制執行も視野に入れる
訴訟で勝ったとしても、相手が支払いをしない場合は「強制執行」が可能です。給与や預金口座、不動産などに対して差し押さえを行えます。
ただし、相手の勤務先や銀行情報が必要になるため、相手の資産情報が不明な場合は慎重な判断が求められます。
話し合いで解決できる可能性もある
少額訴訟を起こす前に、内容証明郵便などで正式に返済を催促するのも有効です。相手が応じれば、裁判を回避でき、関係悪化も避けられます。
内容証明には「法的手段に移行する可能性があります」と明記しておくと、相手への心理的プレッシャーにもなります。
まとめ|泣き寝入りせずに法的手段を活用しよう
少額訴訟は、借用書や支払履歴など明確な証拠がある場合に非常に効果的な手段です。相手が返済に応じないとき、早めに行動を起こすことで、精神的負担や損失を最小限に抑えることができます。
まずは証拠を整理し、簡易裁判所または法テラスなどに相談することをおすすめします。