インターネットやSNS上での誹謗中傷が社会問題となっている昨今、自分が被害に遭ったときに「弁護士に相談するべきか?警察に行くべきか?」と悩む方も多いはずです。この記事では、それぞれの機関に相談すべきケースやその役割の違いについて詳しく解説します。
弁護士と警察の役割の違い
まずは、弁護士と警察の役割を理解することが大切です。弁護士は民事的な損害賠償請求や発信者情報開示請求など、法的手続きのサポートを行います。一方で警察は、名誉毀損や脅迫など、刑法に該当する行為があった場合に捜査・逮捕などの手続きを行います。
たとえば、匿名の相手にSNSで「死ね」「殺す」などの脅迫を受けた場合は、刑事事件として警察に通報する必要があります。ただし、証拠や相手の特定が難しい場合は弁護士に依頼して発信者を特定してもらう流れになることもあります。
弁護士に相談すべきケースとは?
以下のような場合には弁護士への相談を優先するとよいでしょう。
- 相手に損害賠償請求をしたい
- 投稿者の情報を特定したい(IP開示など)
- 名誉毀損や侮辱に対し民事訴訟を考えている
- 刑事告訴も視野に入れており、手続きを整理したい
弁護士に依頼すると、誹謗中傷の証拠保全から開示請求、訴訟準備まで一括して対応してくれる点が強みです。また、近年では「インターネット誹謗中傷に特化した弁護士」も増えてきています。
警察に通報すべきケースとは?
一方で、次のような場合には警察への通報・相談が適しています。
- 脅迫やストーカー行為がある
- 児童ポルノやリベンジポルノの被害
- 犯罪性が高く、早急な対応が必要
- 身の危険を感じるような被害
たとえば「自宅の住所をばらす」といった投稿があれば、個人情報漏洩にあたるだけでなく、安全上のリスクも大きいため、警察に相談するべき緊急性があります。
両方に相談すべきケースもある
誹謗中傷の内容によっては、警察と弁護士の双方に相談する必要がある場合もあります。たとえば、発信者を特定して損害賠償請求をしたいが、相手の行為が刑法に抵触しており、刑事告訴も検討している場合などです。
このようなケースでは、まず弁護士に相談し、民事と刑事の両面から手続きを進めてもらうことが一般的です。弁護士が警察への告訴状の作成を代行することも可能です。
誹謗中傷に対処するための初動のポイント
いずれに相談する場合でも、初動対応が非常に重要です。具体的には次のような対策を取っておくことが推奨されます。
- スクリーンショットやログで証拠を保存
- 投稿日時・URLなどをメモ
- 感情的に反応せず、冷静に対処
- 相談先の候補(弁護士・警察)を整理
誹謗中傷は証拠の保存や記録が非常に重要な意味を持ちます。特にネット投稿は削除されることが多いため、投稿を見つけた時点で即時保存を行いましょう。
まとめ:状況に応じた適切な相談先を選ぼう
誹謗中傷の被害に遭った場合、相談先は一つとは限りません。民事で損害賠償を求めたい場合は弁護士へ、刑事性が高い被害や緊急性がある場合は警察への相談が効果的です。ケースによっては双方に連携してもらうことも必要になります。まずは冷静に証拠を残し、専門家に相談することが大切です。