ネット上では過去に「本物の一万円札を9枚(9万円分)を10万円で販売」という事例が話題となり、詐欺的であると大きな問題となりました。では、もし紙幣を模したオモチャで作った折り鶴を高額で販売したらどうなるのでしょうか?この記事では、類似の行為が法律上どのように扱われるかを解説します。
「紙幣風」のオモチャを使っても注意が必要
おもちゃの紙幣は正式な通貨ではありませんが、そのデザインが日本円に似すぎている場合、「通貨及証券模造取締法」などの法令に抵触する可能性があります。つまり、見た目があまりにも本物そっくりだと、それだけで違法とされる可能性があります。
たとえば、日本銀行券と酷似するデザインを使用して折り鶴を制作し、それを高額で販売した場合、「模造通貨の所持」や「販売目的での所持」と見なされるリスクがあります。
詐欺罪が成立する可能性はある?
「折り鶴9羽を10万円で販売する」行為自体が直ちに詐欺になるとは限りません。詐欺罪が成立するには「相手を欺いて金銭などを交付させた」ことが必要だからです。
しかし、商品説明が虚偽で「本物の紙幣を使用している」などと誤解を招く表現があれば、詐欺罪に問われる可能性は高くなります。明確に「オモチャである」と示し、芸術作品としての販売であることを強調する必要があります。
問題となった「1万円札9枚を10万円で販売」事件との違い
過去の事例では、金券ショップで換金できる可能性など、金銭的な利益が含まれていたため、実質的には「1万円を1万1111円で買わせる」詐欺的構図が批判の対象となりました。
一方、折り鶴は芸術作品や記念品として販売される意図が強ければ、純粋な物品取引として処理される可能性があります。ただし、価格と内容の釣り合いが不自然で、誤認を誘うと見なされた場合は、消費者契約法や景品表示法の問題にも発展しかねません。
高額販売を成立させるための工夫と注意点
高額販売が成立するためには、「芸術性」や「限定性」など、購入者が納得できる理由を明示することが重要です。たとえば「限定9羽」「作者が著名人」「イベント用展示品」などの価値付けが正当なら、価格に納得感が出て法的リスクも下がります。
また、消費者庁などが定める不当表示に該当しないよう、販売ページの表現には十分注意しましょう。
まとめ:販売行為は合法でも「表現」によっては違法となるリスクも
オモチャの紙幣を使用した折り鶴を10万円で販売すること自体は直ちに違法ではありませんが、その表示や意図、消費者への説明が曖昧だと詐欺や景表法違反に問われる可能性があります。
販売を行う場合は「本物の紙幣ではない」「芸術作品としての販売である」などの事実を正確に記載し、法的なリスクを避ける工夫が求められます。万が一を避けるため、専門家への相談も検討しましょう。