セキュリティカメラの導入は安全対策として有効ですが、リース契約による設置トラブルや販売員の対応不備により思わぬ損害やストレスを抱えるケースもあります。本記事では、契約解除後の現状復旧や設置による建物被害が発生した場合の損害賠償の可否について、法的観点を交えながら解説します。
リース契約で発生しやすいトラブルの実例
セキュリティ機器のリース契約では、以下のようなトラブルが報告されています。
- 販売員の説明不足や強引な契約
- 設置後のフォローが全く無い
- 現状復旧がなされず、壁の穴などが放置された
たとえば、ある中小企業では「カメラ設置後、担当者が連絡を絶ち、そのまま数ヶ月放置された」という事例もあり、信頼関係の破綻によって契約解除を決断するケースもあります。
現状復旧義務と業者側の責任について
設置時に穴を空けたり配線加工をした箇所について、原則として契約解除後は業者側が「原状回復義務」を負うことが多いです。これは民法第415条に基づく債務不履行責任として追及可能です。
ただし、契約書に「原状回復は借主負担」などの文言がある場合は注意が必要です。必ず契約条項を確認しましょう。
漏水や建物損壊が発生した場合の損害賠償の可否
設置によって穴が空き、そこから雨漏りや壁内腐食が発生した場合、施工ミスや管理責任の範囲内で損害賠償請求が可能です。特に、業者が適切な防水処理や配線保護を行っていなかった場合は「不法行為」に該当します(民法709条)。
このような場合は、写真などの証拠を保存し、まずは業者に修繕の申し入れを行うのが第一歩です。
損害賠償請求の具体的な進め方
損害賠償請求を行う場合は、次の手順が有効です。
- 被害の状況を写真・動画で記録
- 業者に内容証明郵便で請求の意思を通知
- 損害額の見積もり(修理費・漏水による物品損壊など)を取得
- 解決しない場合は弁護士や消費生活センターに相談
特に、証拠の保存が非常に重要です。工事の写真、契約書、請求書などは必ず手元に残しておきましょう。
リース契約自体の解除と費用精算
リース契約は一般的に「中途解約不可」とされるケースが多く、全額支払いの義務が生じることもあります。しかし、勧誘時の虚偽説明や対応不備が明らかな場合は、契約の取消や損害賠償の対象となり得ます。
このような場合は、契約時の説明内容を録音・記録していたかどうかが鍵になります。ない場合でも、他の証言や状況証拠から不当性を主張できることもあります。
まとめ:泣き寝入りせず、正当な対応を
セキュリティカメラ設置による損害があった場合、業者の不備が明確ならば損害賠償請求は可能です。また、リース契約であっても、契約解除時の原状回復義務が業者にあることを主張できます。
対応に不安がある場合は、国民生活センターや弁護士などの専門家に相談することで、適切な対応を進めましょう。泣き寝入りせず、自身の権利をしっかり守ることが重要です。