インターネット上での誹謗中傷被害が深刻化する中、法的手段によって投稿者の情報開示や損害賠償請求を行うケースが増えています。しかし、実際に訴訟まで進めた場合の総費用や、勝訴後に相手方からどれだけ回収できるのか気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、典型的なケースを例にして、具体的な費用感と請求可能な金額を解説します。
誹謗中傷への対応にかかる主な費用項目
ネット上の誹謗中傷対策では、次のような費用が発生するのが一般的です。
- 発信者情報開示請求(プロバイダ):約5〜15万円
- 弁護士費用(着手金・成功報酬):30〜60万円程度
- 損害賠償請求訴訟費用:訴訟費用(印紙・郵券)で1〜3万円程度、その他弁護士報酬加算
たとえば弁護士にすべて依頼する場合、トータルで50〜80万円程度が相場となります。
例:損害賠償10万円を請求するケースのシミュレーション
以下は、損害賠償10万円を請求し、最終的に勝訴したケースの具体例です。
費用項目 | 金額(概算) |
---|---|
発信者情報開示請求 | 12万円 |
弁護士費用(着手+報酬) | 40万円 |
損害賠償請求訴訟費用 | 3万円 |
合計費用 | 55万円 |
損害賠償金額が10万円であっても、手続き費用を含めると50万円以上になる可能性があります。
勝訴した場合、相手に請求できる費用の範囲
日本の民事訴訟では、原則として損害賠償額+訴訟費用の一部しか請求できません。
- 損害賠償:請求した10万円
- 訴訟費用:印紙代など実費分(裁判所が認定)
- 弁護士費用:一部(多くは損害賠償額の10%程度)
つまり請求可能額はおよそ12〜13万円程度で、差額の40万円以上は自己負担になる可能性が高いというのが現実です。
費用倒れを防ぐために知っておくべきこと
誹謗中傷の損害賠償請求は経済的回収よりも抑止効果や名誉回復を目的とするケースが多いため、事前に費用対効果をよく検討することが大切です。
以下の点を検討しましょう。
- 弁護士費用の見積もりを複数取る
- 無料相談を活用する
- 法テラスの利用可否も確認する
また、Twitterや5chなどプラットフォームによって開示の難易度や費用が変動する点も要注意です。
まとめ:法的対応は慎重なコスト計算と専門家相談が鍵
誹謗中傷への法的対応では、開示請求→損害賠償請求→訴訟という流れに沿って進められますが、費用負担は大きくなりがちです。
請求できる金額には上限があるため、費用倒れを避けるには、専門家の助言を得て、事前に戦略を立てることが重要です。