弁護士のSNS投稿はどこまで許される?職業倫理と信頼性の観点から考察

近年、弁護士によるSNS発信が増える中で、「これは許されるのか?」と感じる投稿に出会うことがあります。特にX(旧Twitter)や匿名ブログなどで、一般人が驚くような言動を目にすることもあります。この記事では、弁護士のSNS発信における倫理的制約や法的責任、そして利用者としての冷静な見方について解説します。

弁護士に求められる品位とは?職務基本規程の視点から

弁護士法および日本弁護士連合会の「弁護士職務基本規程」では、弁護士は職務上・私生活上を問わず「品位を保たなければならない」(第1条)とされています。つまり、法律の専門家として社会的信用を失墜させる行動は、公私を問わず問題視される可能性があります。

たとえば、SNS上で過激な言動をしたり、他者を侮辱するような発言があった場合、倫理審査の対象となることがあります。これは懲戒請求の対象にもなりうるため、弁護士であっても発信には慎重さが求められます。

実際に問題となった弁護士のSNS投稿例

過去には、以下のような投稿が波紋を呼び、メディアや法曹界内で議論を呼んだケースがあります。

  • 相手方当事者や他士業への批判をSNSで公開
  • 依頼人とのやり取りを暗示させるような投稿
  • 自身の政治的・社会的立場を過激な言葉で拡散

これらの行為は、たとえ法的に違法ではなかったとしても、弁護士としての品位に欠ける行動として厳しく見られます。

私的アカウントでも許される範囲には限界がある

「個人アカウントだから問題ない」という意見もありますが、弁護士である以上、フォロワーや閲覧者からは“専門家”としての立場が期待されます。結果として、「私的発信」であっても職業倫理が問われる状況は避けられません。

特に、自己紹介欄に「弁護士」「法律事務所名」などを記載している場合、発言の社会的影響力は大きくなり、より慎重な対応が必要とされます。

見てしまった側の心理的影響と向き合い方

「弁護士のイメージが一気に下がった」と感じた場合、それは自然な反応です。法律の専門家には中立性や冷静さを期待しているからこそ、過激な発信に違和感や不安を感じるのです。

ただし、SNS上の発言がその人のすべてを表しているわけではありません。一時的な感情や誤解が背景にある可能性もあるため、必要以上に不信感を強めず、冷静な目線を持つことも重要です。

もし問題があると感じたらどうすればいいか

どうしても「これは問題では?」と思うような発信を見かけた場合は、次のような行動をとることが可能です。

  • 所属弁護士会に連絡し、倫理的観点での確認を求める
  • 弁護士懲戒請求制度の利用を検討する(ただし慎重に)
  • SNS上での接触は避け、感情的な反応を控える

とくに懲戒請求は法的手続きであるため、誤った申立ては名誉毀損や虚偽告訴に該当する恐れもあります。正確な情報に基づいて行動しましょう。

まとめ:弁護士のSNS発信は慎重に見るべきだが、全人格を否定すべきではない

弁護士の発言が気になるときは、まずその文脈や背景を確認することが大切です。一部の投稿が不快だったとしても、それだけでその人物の職務能力や人格全体を判断するのは早計です。

一方で、弁護士には常に「社会的信頼」に応える義務があることも確かです。私たち利用者側も、信頼できる弁護士を見極める力を持ち、問題を感じたときには冷静かつ正当な対応をとることが求められます。

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