NHKの受信契約は法的に義務?テレビを設置していない場合の対応も解説

NHKの受信契約については、毎年のように議論の的となっています。「テレビを持っていなければ契約しなくていいのか?」「設置しただけで契約義務があるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、法律上の義務、具体的な契約要件、裁判例、そして現実的な対応策について詳しく解説します。

放送法で定められている受信契約の義務

NHKとの受信契約に関する規定は、放送法第64条第1項にあります。そこでは、「NHKの放送を受信できる受信設備(=テレビなど)を設置した者は、NHKと受信契約を結ばなければならない」と定められています。

つまり、単にテレビを「購入」しただけではなく、「設置(=受信できる状態にある)」という要件が満たされた時点で、契約義務が生じるとされています。

テレビを設置していなければ契約は不要

放送法では「受信設備を設置していない人」は契約義務の対象外です。たとえば。

  • テレビがなく、スマートフォンやPCでもワンセグ・フルセグを受信しない
  • チューナー機能を持たないディスプレイを利用している
  • インターネット配信のみ視聴している(NHKプラスなど)

上記のような状況であれば、NHKとの契約は必要ありません。

過去の裁判例から見る判断基準

過去の最高裁判決(2017年12月)では、「放送受信契約の義務は、設置=放送受信可能状態であるかどうかで判断される」と明確に示されています。また、ワンセグ対応の携帯電話を所有している場合も契約義務があるとした下級審判決もあります。

ただし、その後の判例では「設置者本人が受信目的で使用していなかった」との事情を考慮し、契約義務を否定した例もあり、判断はケースバイケースです。

訪問員への対応と注意点

NHKの委託訪問員が自宅を訪れた際、契約義務がないにもかかわらず執拗に契約を迫るケースも報告されています。対応のポイントは以下の通りです。

  • 「受信設備はありません」と明確に伝える
  • 玄関先での録音・録画を行うことでトラブル防止
  • 不安があればNHKコールセンターや消費生活センターに相談

また、NHK公式サイトでは受信契約の正しい基準が明示されているので、疑問があれば確認しましょう。

実例:契約義務が否定されたケース

ある男性が、モニター付きのゲーム用ディスプレイを使用していたところ、NHKから契約義務があると通知されました。しかし、そのモニターにはチューナー機能がなく、インターネット接続のみで使用していたことから、裁判で契約義務は否定されました。

また、ワンセグ非対応スマートフォンしか所持していない女性も、訪問員から契約を求められましたが、後に消費生活センターを通じて契約不要と確認されました。

まとめ

NHKの受信契約は法律で定められた義務ですが、それは「放送受信設備を設置した場合」に限られます。テレビやワンセグ機能付き機器を設置していないのであれば、契約義務はありません。

自宅に訪問員が来ても、冷静に対応し、自分の環境が契約義務の対象かどうかを把握しておくことで不要なトラブルを避けられます。最終的に判断に迷った場合は、法的助言を受けることも選択肢のひとつです。

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