交通事故後に症状が遅れて出た場合、人身事故扱いにするべき理由と正しい手続き

交通事故に遭った直後は無傷だと思っていても、数時間後や翌日以降に痛みや吐き気、頭痛などの症状が現れることがあります。特に軽微な事故でも、むち打ちや脳震盪といった見えにくいケガが起きる可能性があるため、対応を間違えると後悔することになりかねません。今回は、事故後に症状が出た場合の人身事故への切り替えや、通院・仕事復帰と補償の関係について解説します。

事故直後に症状がなくても、後から出ることは珍しくない

軽い接触事故でも、体には相当な負荷がかかります。事故直後はアドレナリンの影響で痛みを感じにくくなり、「大丈夫」と判断してしまいがちですが、実際には数時間から数日後にむち打ちや頭痛、吐き気といった症状が現れるケースが多くあります。

特にむち打ちはレントゲンやCTに異常が出にくく、症状だけで診断されることが多いのが特徴です。そのため「画像に異常がないから無傷」というわけではなく、症状の継続があればきちんと記録と通院を重ねることが大切です。

人身事故への切り替えは後からでも可能

物損事故として処理したあとでも、診断書を提出すれば人身事故に切り替えることは可能です。通常、診断書は最初に通院した医療機関(整形外科や脳神経外科など)で発行してもらいます。

「ケガの証拠がない」と心配する方もいますが、痛みが続き通院が継続している場合、医師の所見で「頚椎捻挫(むち打ち症)」などの診断が付きやすくなります。接骨院での施術も補助的に評価されますが、診断書は原則として医師のものが必要です。

人身事故にすることで得られる補償の違い

物損事故のままでは、治療費や慰謝料の補償が制限されることがあります。一方、人身事故として処理されれば、以下のような補償が受けられる可能性があります。

  • 治療費(病院・接骨院等)
  • 通院交通費
  • 休業損害(仕事を休んだ場合の補償)
  • 慰謝料(通院日数に応じて算出)

たとえば、会社員が1週間仕事を休んだ場合、1日あたりの平均賃金×休業日数分の休業損害が補償されます。また、通院した日数に応じて慰謝料も支払われます。

仕事復帰しても補償が打ち切られるわけではない

「出勤できるなら健康だとみなされるのでは?」と心配する声もありますが、通院を続けていれば補償が打ち切られることはありません。むしろ、症状があるのに無理して働くことで悪化し、治療期間が延びるケースも多いです。

勤務先と調整できるなら、なるべく軽作業や時短勤務にするなど、体に負担をかけない形での復帰が望ましいでしょう。通院と並行して働いている人は多く、保険会社もその実情を踏まえて補償を判断します。

相手も同じ保険会社の場合の注意点

今回のケースでは、加害者・被害者ともに東京海上日動に加入しているとのことですが、この場合も補償や手続きの正当性に変わりはありません。ただし、同一保険会社だからといって被害者側の意見が軽視されることがないよう、自分自身で記録を残すことが重要です。

具体的には、通院日、痛みの部位、処方内容、仕事への支障などを日記やスマホアプリで記録しておくと、後から症状の一貫性を証明しやすくなります。

まとめ:後から出た症状も適切に記録し、人身事故への切り替えを検討しよう

事故直後に異常がなかったとしても、症状が後から現れることはよくあります。そのような場合でも、診断書をもとに人身事故への切り替えは可能です。保険の補償をしっかり受けるためにも、通院を継続し、医師と相談しながら適切な手続きを進めていくことが大切です。

また、仕事に復帰しても補償が消えるわけではないので、無理をせず、症状に応じて柔軟に対応していきましょう。心配な点があれば、交通事故に詳しい弁護士や行政書士に相談するのも一つの手段です。

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