SNS経由で契約した高額コンサルのキャンセル・返金交渉は可能か?解約を申し出る際の文面例と法的対処法

近年、SNS経由で個人から提供される「コンサルティングサービス」が増える中、契約後に返金やキャンセルを求めたくなるケースも少なくありません。特にサービス提供前であれば「返金してもらえるのでは?」と考えるのは自然なことです。この記事では、コンサル契約の法的ポイントと、支払い義務の有無、返金を求める際の具体的な伝え方を解説します。

クーリングオフは適用されるのか?

まず確認すべきは、「クーリングオフ制度」が適用される取引かどうかです。基本的にクーリングオフは、訪問販売・電話勧誘販売など一定の販売形態に限定されており、SNS上の自己申込型コンサル契約には原則として適用されません

したがって、相手が「クーリングオフ対象外です」と返してきた場合、それ自体は法的に間違いではない可能性が高いです。

民法上の「契約解除」の可能性

クーリングオフが適用されない場合でも、民法に基づく契約の解除(民法540条以下)や錯誤・詐欺・不実表示による取り消し(民法95条〜96条、消費者契約法第4条など)を検討することは可能です。

特に以下の条件が当てはまる場合は、返金を主張できる余地があります。

  • 契約書に「キャンセル時の返金不可」などの条項が明記されていない
  • サービス提供がまだ開始されていない
  • 高額な対価に見合う内容か疑問がある
  • 一方的に一切返金不可と主張されている

このような場合、「信義則」や「消費者契約法の不当条項無効」などを根拠に返金請求をすることも理論上は可能です。

返金交渉の際の文面例

返金を求める際には、感情的にならず、事実と法的根拠をもとに冷静に伝えることが重要です。以下は交渉時に使用できる文面例です。

文面例:

お世話になっております。先日7月27日に契約させていただきましたコンサルティングサービスにつきまして、現在の経済状況と今後の支払見通しが立たないため、契約の解除と返金を希望しております。

まだサービスの提供が開始されていない状況であり、消費者契約法第9条・10条における不当条項の無効、信義則、民法の解除権(第540条)等を考慮したうえで、可能な限り誠実に解決を図りたく存じます。

ご検討のうえ、何卒ご対応をお願い申し上げます。

このように、丁寧かつ法的観点も加えた文面にすることで、相手方が応じやすくなる可能性があります。

弁護士相談や消費生活センターへの相談も選択肢

相手がまったく交渉に応じない場合や、法的根拠を提示しても一切対応がない場合は、消費生活センター法テラス、または弁護士への相談も検討してください。

特に66万円という金額は少額とは言えず、内容次第では不当利得返還請求損害賠償の対象となることもあります。

事前に確認すべき契約書のチェックポイント

これから同様の契約を検討する方に向けて、以下の項目が記載されているか必ず確認するようにしましょう。

  • キャンセルポリシー(返金規定)が明記されているか
  • 役務提供の範囲と開始日が定義されているか
  • 分割払いの場合の支払い条件
  • トラブル時の連絡先と解決手段(管轄裁判所など)

もしこれらが明記されておらず、契約書自体が存在しない場合は、さらに法的な無効の可能性が高まります。

まとめ:コンサル契約は慎重に、支払い義務は相手の主張だけで決まらない

SNSでの高額コンサル契約は、形式上契約に見えても消費者保護の観点から見直せる余地があります。サービス未提供で返金に応じない対応には、消費者契約法や民法の解除・錯誤規定を根拠に交渉することが可能です。

泣き寝入りせず、まずは落ち着いて書面での意思表示を行い、それでも応じない場合は公的機関に相談することで、法的に正当な解決が図れる可能性があります。

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