自動運転車(車A)と従来のマニュアル運転車(車B)が事故を起こした場合、どのように過失割合を証明するのかは非常に複雑な問題です。特に、当事者の証言が食い違い、証人がいない状況では、どのような証拠が決定的となるのでしょうか?この記事ではその具体的な判断方法や証拠収集のポイントを整理しています。
自動運転中の過失責任は誰が負う?
日本におけるレベル3以上の自動運転車では、システムが正常に機能している限り、運転者の過失判断は難しいとされています。万が一、ソフトウェアやセンサーに欠陥があった場合、製造者やサービス提供者に責任が及ぶ可能性があるため、判定には事故車両のログや制御記録(EDR/DSSAD)が不可欠です。
つまり、車A側についてはドライバーの過失かシステム責任かを問うため、従来のドライバー同士の事故よりも論点が増えます。([参照])
ドライブレコーダーやEDRの重要性
事故時の状況を客観的に示すために、ドライブレコーダー映像は強力な証拠となります。どちらがブレーキを踏んだか、回避行動を取ったかなどが映像で確認できれば、虚偽証言があっても判断材料となります。
加えて、自動運転車にはEDR(イベントデータレコーダー)または高度運転支援データ(DSSAD)と呼ばれる制御ログが搭載されていることが多く、これらが「システムの介入タイミング」「ブレーキや制動の履歴」などを記録しています。専門家による解析が過失割合評価に直結します。([参照])
証人なし・交通量なしの現場でどう証明する?
通行量が少なく証人がいない場合、客観データ(映像・ログ)がなければ過失割合の算定は非常に難しくなります。事故処理や保険会社への報告では、双方の言い分が食い違うこともあり、合意形成が難航する可能性があります。
そのため、当事者双方が事故直後にスマホやドライブレコーダーで映像や音声を保存し、現場状況を記録しておくことが強く推奨されます。
過失割合判断の実務的プロセス
- 保険会社や専門家による映像・ログ・車両挙動の解析
- 当事者の証言内容と記録との突合
- 自動運転システムの仕様・制御履歴の専門家評価
- 必要に応じて製造者によるリコール歴やシステム欠陥の有無の確認
このプロセスにより、人の虚偽証言だけに頼らず、科学的・技術的根拠に基づいて判断が下されることになります。
まとめ:証拠と専門解析こそがカギ
自動運転機能付き車と従来車の事故では、当事者の証言だけではなく、ドライブレコーダーやEDR/DSSADなどの技術的証拠が重要になります。特に当事者の責任を判断する際には、証拠の質や解析が過失割合に直結するため、事故後の迅速かつ確実な証拠収集が条件になります。
証言の信頼性だけでなく、ログや映像を組み合わせた多角的判断によって、より正確な過失割合が導かれます。