運転中に対向車が無理な追い越しをして自車線にはみ出してくる…。そんなヒヤリとする場面に遭遇したとき、「もし正面衝突していたら、自分に過失はあるのか?」と不安になる方も多いでしょう。この記事では、そういった状況における過失割合や、事故発生時の責任の所在について解説します。
道路交通法と「はみ出し追い越し」の違反性
道路交通法では、対向車線にはみ出して追い越しをする場合、前方の見通しが悪いカーブ・坂・交差点・横断歩道付近などでは追い越し禁止と定められています(第30条・第34条など)。
そのため、こうした場所での無理な追い越しやはみ出し運転は重大な違反行為とされ、事故が起きた場合も加害者側に重い責任が課されやすい傾向があります。
正面衝突事故の一般的な過失割合とは?
基本的に、正面衝突事故は「どちらが車線をはみ出したか」で過失割合が決まります。対向車が追い越し目的で反対車線にはみ出してきた場合、過失割合は以下のように判断されることが多いです。
- 相手:90%/自分:10%(通常のケース)
- 相手:100%/自分:0%(避けようがない状況で自分の走行に全く問題がなかった場合)
つまり、対向車の進路妨害が明白な場合には「10対0」もあり得るということです。
10対0になる可能性が高い具体的な条件
過失がゼロと認められるのは非常に限定的ですが、以下のような要素がそろっていると判断されやすくなります。
- 自車は法定速度内で直進中だった
- 対向車がセンターラインをはみ出してきた記録がドライブレコーダー等で残っている
- 自車に進路変更や他の違反がなかった
- 事故直前にブレーキを踏んでおり、回避行動をとっていた
反対に、自車側にも「スピード違反」「わき見運転」などがあった場合は、1~2割の過失が問われることもあります。
ドライブレコーダーの映像が重要な証拠に
過失割合の判断には、事故状況の客観的証拠が重要です。中でも有力なのがドライブレコーダーの映像。はみ出してくる車、衝突までの距離や回避行動の有無などが記録されていれば、自身の無過失を主張する根拠となります。
最近では後方カメラ付きの全方位型ドライブレコーダーも増えており、JAFの調査でも「トラブル回避や過失判断で役立つ」との回答が多数を占めています。
もし事故になってしまったら取るべき対応
仮にブレーキを踏んでも衝突してしまった場合、以下の対応を取りましょう。
- 警察へ通報(物損・人身問わず必須)
- 相手の免許証・車検証・保険の確認
- 現場の写真撮影(位置関係・ブレーキ痕など)
- 目撃者がいれば連絡先を聞く
- ドライブレコーダーのデータを保存
特に相手が「追い越し中だった」と証言している場合、それだけでも有利な証拠になります。
まとめ:正面衝突でも過失ゼロの可能性はある
対向車が追い越し目的で自車線にはみ出してきた場合、事故の責任は原則的に相手方にあります。自身が適切に運転し、証拠がそろっていれば、10対0の過失割合も十分に成立する可能性があります。
事故にならないのが一番ですが、もしもの際に備えて、ドライブレコーダーや証拠の確保が非常に重要です。