美容サロンなどでトラブルが発生し、店舗の備品を汚してしまった場合、顧客が損害賠償を請求されることがあります。しかし、その金額が妥当かどうかや、全額支払う必要があるかどうかはケースによって異なります。本記事では、実例を交えて損害賠償の判断基準と対処法を解説します。
損害賠償の基本的な考え方
民法第415条により、過失によって他人に損害を与えた場合は損害賠償義務が生じます。ただし、賠償額は「実際の損害額」が原則であり、新品の価格がそのまま請求されるとは限りません。
たとえば、中古の椅子が汚れた場合でも、耐用年数や経年劣化を考慮した価値しか賠償の対象とならないケースが多いです。
中古品を汚損した場合の賠償額の目安
たとえば、新品で10万円の布製チェアを5年間使用していたとすると、減価償却の考え方により実勢価値は2万円〜3万円程度まで下がるとされることもあります。
このため、サロン側が「7万円の請求」をしてきた場合、その金額が妥当かどうかは椅子の購入時期・使用頻度・状態によって変わります。
請求額が不当に高いと感じたときの対応
まずは、請求内容の内訳や根拠を求めることが大切です。以下のように尋ねるとよいでしょう。
- 「購入日や価格のわかるレシートなどありますか?」
- 「経年劣化や中古価値を考慮していただけますか?」
明らかに不当と感じる場合は、国民生活センターや消費生活センターへの相談も有効です。
過失の有無と責任の程度
このような事例では、顧客にどの程度の過失があったかもポイントになります。たとえば、体調不良を申し出ていたにもかかわらず無理に施術を続けられた場合、サロン側にも注意義務違反が認められる可能性があります。
一方で、体調に不安があるにも関わらず無理をして来店した場合は、顧客側の過失も否定できません。
第三者への相談で冷静な判断を
弁護士の無料相談を活用することで、金額の妥当性や支払う必要の有無について的確なアドバイスが得られます。最近ではLINEや電話で簡易相談ができる弁護士事務所も増えています。
また、「民事トラブル相談」を取り扱う弁護士ドットコムなどのQ&Aサイトで類似事例を見るのも参考になります。
まとめ:全額請求は必ずしも妥当ではない
店舗備品を汚してしまった場合でも、必ずしも「新品価格での全額負担」が正当とは限りません。減価償却や使用年数、状況の事情を考慮し、妥当な金額かどうかを見極めることが大切です。
一方的な請求に不安を感じたら、必ず専門機関や法律の専門家に相談し、冷静に対応しましょう。