傷害事件で加害者が書類送検された後の流れ|不起訴・起訴・刑事罰の可能性をわかりやすく解説

突然の暴力事件に巻き込まれたとき、加害者が警察に逮捕されなかったり、自宅に帰されたと知ると不安や不満を感じる方も多いでしょう。この記事では、傷害罪で書類送検されたケースにおけるその後の流れや、起訴・不起訴・刑罰の可能性について、実際の運用を踏まえてわかりやすく解説します。

書類送検とは何か?逮捕されないまま捜査されるケース

書類送検とは、逮捕されないまま捜査が進められ、事件記録が検察へ送られることを指します。送検の対象は主に刑事事件で、傷害や暴行などが含まれます。

加害者が現行犯逮捕されなかった場合でも、書類送検されていれば刑事処分が検討されるため、「自宅に帰された=お咎めなし」というわけではありません。

検察が判断する3つの処分:不起訴・略式起訴・正式起訴

書類送検を受けた検察は、証拠や被害届の内容を元に以下の処分を検討します。

  • 不起訴処分:証拠が不十分、情状酌量、示談成立などで不起訴となり、刑事罰は科されません。
  • 略式起訴:簡易な手続きで罰金刑を科す処分。正式な裁判を経ずに処分が決定されます。
  • 正式起訴:刑事裁判に進むことになり、有罪になれば懲役や罰金刑が言い渡されます。

いずれの判断になるかは、被害の程度、加害者の反省状況、示談の有無、前科の有無などに左右されます。

傷害罪の量刑相場と被害届の効果

刑法第204条に基づく傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。ただし実際の処分は軽微な傷害かどうか、初犯かどうかなどによって異なります。

被害届を出し、診断書も提出していれば「加害行為があった」「けがをした」という客観的証拠になります。これにより検察が起訴を検討する有力な材料となります。

「注意で終わる」可能性があるのはどんなとき?

検察官は公益性と法の適用のバランスを判断し、「起訴猶予(不起訴処分)」とすることもあります。以下のような場合が該当しやすいです。

  • 加害者が全面的に非を認めて謝罪している
  • 示談が成立している
  • けがが比較的軽微である
  • 初犯で社会的制裁を既に受けている

しかし、暴行の映像があり、診断書も提出済み、加害者が行為を認めているという状況では、略式起訴または正式起訴の可能性も十分考えられます。

被害者として取れる追加の対応

刑事事件とは別に、民事での損害賠償請求も検討できます。弁護士に相談の上、慰謝料請求などを進めることも可能です。

また、検察に対して「処分結果の通知希望」を申し出ることで、起訴・不起訴などの結論を知ることができます。法テラスや被害者支援センターなども活用しましょう。

まとめ:書類送検後も処分はさまざま、証拠と被害者の声がカギ

書類送検は「何もしない」の意味ではなく、刑事処分の検討段階にあります。検察の判断は多角的であり、証拠や被害者の対応が大きく影響します。

被害届の提出、診断書の添付、加害者の認否といった要素をもとに、略式起訴や正式起訴がされる可能性も十分にあります。不安がある場合は、被害者支援制度や法律相談を活用しながら、冷静に対応していくことが大切です。

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