取消済みLINEメッセージを復元するアプリは裁判証拠として有効?法的な評価と判断基準を解説

LINEの送信取消機能は、プライバシーや誤送信時のリカバリー手段として多くのユーザーに利用されています。しかし、第三者アプリを利用して削除済みメッセージを閲覧・保存し、それが裁判に提出された場合、果たして証拠として有効と判断されるのでしょうか。本記事では、ノゾキミアプリのような閲覧補助アプリを通じて取得されたLINEメッセージの法的評価について詳しく解説します。

ノゾキミアプリとは?問題の根本を理解する

ノゾキミアプリとは、LINEなどのメッセージアプリで送信取消された内容をログとして記録し、後から閲覧可能にする非公式アプリの総称です。これらはユーザーの端末にインストールされ、通知の内容や一時保存領域からデータを収集することで「既読前でも取消前の内容」を保存する仕組みを持っています。

こうしたアプリは、公式では認められていない方法で情報を扱うため、倫理的・法的にグレーな領域にあります。

裁判証拠としてのLINEメッセージの扱い

日本では、LINEのメッセージ履歴は裁判で証拠として用いられるケースが増えています。裁判所がLINEのメッセージを証拠と認めるためには、改ざんの可能性が低く、真正性(=信頼性)が担保されている必要があります。

例えば、トーク履歴のスクリーンショットやバックアップファイルが証拠として採用された判例も存在しますが、それが正規のアプリ操作で取得されたかどうかが重視されます。

取消メッセージを復元して提出することの法的リスク

ノゾキミアプリのようなツールで取得したデータは、技術的には「記録」された内容でも、相手の意思に反して閲覧・保存している点でプライバシーの侵害とみなされる恐れがあります。

仮にこのような記録が裁判に提出された場合、証拠としての採用が却下される可能性や、提出した側に不利益な評価がなされるリスクもあります。また、個人の同意を得ずにメッセージを復元・保存した行為が「不正取得」と判断される場合も否定できません。

裁判官の評価はどうなるか

裁判官の判断はケースバイケースですが、一般的に以下のような基準が考慮されます。

  • データ取得方法の合法性
  • 証拠の改ざんリスク
  • プライバシー権の侵害の有無
  • 相手方の不利益や精神的苦痛の有無

そのため、「取消したはずのLINEが復元されて使われた」場合には、閲覧・提出した側に倫理上の問題があると見なされ、裁判官によっては不快感を示す可能性もあります。

違法性があれば慰謝料請求も可能?

ノゾキミアプリの利用が明確なプライバシー侵害に該当すると認められた場合、損害賠償請求や慰謝料の対象となる可能性があります。

たとえば、送信者が「取消」した時点で相手の閲覧を止める意思を表明しているとも解釈できるため、それを技術的に回避して閲覧・保存する行為は、民法上の不法行為と判断されうるでしょう。

対応策と今後の注意点

LINEの取消機能は万能ではないため、万が一に備え、言葉選びには慎重になることが重要です。また、もしもプライバシー侵害に該当するような行為があった場合は、弁護士や消費者センターに相談することをおすすめします。

また、訴訟で使用される証拠の正当性や手続きについては、専門家による法的アドバイスを受けることが最も確実です。

まとめ:技術的に可能でも、法的・倫理的に問題は残る

ノゾキミアプリのようなツールは、確かに取消済みメッセージを表示する機能を備えていますが、それを利用することが常に法的に正当とは限りません。裁判で有効な証拠とされるかどうかは、その取得方法や目的の正当性によって左右されるため、安易に利用・提出することは避けるべきです。

デジタル証拠の扱いが複雑化する今こそ、正しい情報と専門的な助言に基づいた対応が求められます。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール