クレジットカード債権の時効はいつ成立する?差押えや取り下げがあった場合の注意点

クレジットカード債務に関する時効は、多くの方にとって分かりにくいテーマです。特に「差押え命令が出ていたが、その後取り下げられた」というケースでは、時効の進行がリセットされたのか、再び進行しているのかなど、混乱する場面も多いでしょう。本記事では、債権回収や裁判手続きと時効の関係について詳しく解説します。

クレジットカード債務の時効期間は原則5年

商取引に基づくクレジットカード債権は、民法上の「消滅時効」により、原則として支払期日から5年で時効が成立します。これは、業務として反復継続して行われる取引に該当するため、商事消滅時効(5年)が適用されるためです。

例えば、令和元年6月に最後の支払いがあった場合、通常であれば令和6年6月に時効が完成する可能性があります。

差押え命令は「時効の中断事由」になる

しかし、時効は自動で進行し続けるわけではありません。債権者(クレジットカード会社や債権回収会社)が裁判所に対して支払督促や訴訟、差押えを行うと、これらは「時効の中断(現在は『更新』と表現)」になります。

今回のケースのように、令和2年3月に差押え命令が発令された場合、その時点で時効は一旦リセットされ、そこから再び新たに5年の時効期間が始まります。

差押えが「取り下げ」られた場合の影響

差押えがその後取り下げられた場合でも、裁判所が一度正式に手続きを受理し、強制執行が開始された時点で「時効中断効」は成立しています。したがって、たとえ令和2年11月に差押えが取り下げられても、差押え命令が有効に発令されていたならば、令和2年3月が新たな起算点となります。

つまり、そこから5年後の令和7年3月までに時効を援用しなければ、再度回収手続きが行われる可能性があります。

「時効援用」が必要であり自動で消滅しない

時効は自然に成立するものではありません。「援用」と呼ばれる意思表示を債務者側がしなければ、たとえ時効期間が経過しても、債権は有効のままとなります。

この援用は内容証明郵便などで、確実に証拠が残る方法で行うことが望ましいとされています。法律の専門家に相談しながら、正式な手続きを進めることをおすすめします。

時効が認められるための注意点

  • 最後の支払い日や債務承認日(電話・書面含む)から5年以上経過していること
  • その後、裁判・差押え・督促などの法的手続きがないこと
  • 時効援用通知を正式に債権者へ送付していること

たとえば、途中で一部でも支払ってしまうと「債務の承認」とみなされ、時効が再びリセットされてしまいます。

まとめ:取り下げ後も差押えは時効をリセットする

今回のケースのように、差押え命令が発令されたあと取り下げられたとしても、「差押えの事実」があることで時効はリセットされます。従って、次の時効完成日は令和2年3月から数えて5年後の令和7年3月頃となる可能性が高いです。

時効を成立させたい場合は、専門家に相談のうえで「援用通知」を忘れずに行いましょう。法律は手続き主義です。知っていれば損を防ぎ、適切な対応につながります。

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