誹謗中傷による複数回の訴訟はありえる?ネット上で繰り返された投稿と法的リスク

インターネット上での誹謗中傷が社会問題として注目されている昨今、同じ人物が繰り返し同一相手に対して名誉毀損的な発言を行い、その都度訴えられるというケースが実際に存在するのか気になる方も多いでしょう。本記事では、同一人物による複数回の誹謗中傷と、それに伴う複数の訴訟リスクについて法的な視点から解説します。

同じ相手に複数回誹謗中傷して訴えられることはあるのか

結論から言えば、同一の被害者に対し、複数回にわたって誹謗中傷的な投稿や発言を繰り返すことで、個別に損害賠償請求などの民事訴訟を起こされることは十分にあり得ます。各投稿が独立した権利侵害とみなされれば、1件ずつ別々に訴訟を提起することが可能です。

たとえば、AさんがBさんに対して、SNSや掲示板など複数のプラットフォーム上で3回異なる誹謗中傷投稿をした場合、Bさんがその都度損害賠償請求訴訟を起こすことは法的に問題ありません。

判例や実例:繰り返されるネット中傷の法的対応

実際に、ネット掲示板における連続した投稿がそれぞれ独立した名誉毀損と判断され、投稿ごとに損害賠償額が積み上げられた判例も存在します(例:東京地裁平成29年○○号)。

また、誹謗中傷を行った人物が同一であっても、投稿内容や投稿日時、文脈が異なる場合は、別個の行為として評価され、個別に法的責任を問われることがあります。

1つの訴訟でまとめられる場合との違い

一方で、投稿が時期的に近接している場合や、内容が連続性を持っていると判断されると、1つの訴訟にまとめて提起されることもあります。これは裁判所の判断により異なるため、すべてが個別訴訟になるわけではありません。

ただし、被害者側が精神的な負担や手続きの煩雑さを避けるため、あえて一括して提起しないこともあります。複数回の行為に対して厳格に責任を問いたいという意図がある場合には、あえて複数回に分けて訴訟を起こす戦略も取られます。

刑事責任が問われる可能性もある

誹謗中傷の程度によっては、名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)として刑事事件化される可能性もあります。刑事告訴がなされれば、民事とは別に警察や検察が動くことになります。

複数回の誹謗中傷があった場合、累積的に悪質性が評価されて刑事罰が重くなることもあり得ます。

誹謗中傷を防ぐための意識と注意点

意図的でなくても、結果として名誉を毀損する投稿になってしまった場合には、法的責任を問われるリスクがあります。特にSNSや匿名掲示板などでは感情的になりやすいため、自身の発言が第三者にどう受け取られるかを意識する必要があります。

一度の投稿でも重大な結果を招くことがありますが、それが複数回にわたる場合にはさらにリスクが高まります。発信前に内容を見直し、不要な批判や攻撃的な表現を避けましょう。

まとめ:繰り返される誹謗中傷は重大な法的リスクに

同じ相手に対する複数回の誹謗中傷行為は、個別の訴訟対象となり、現実に複数回訴えられる可能性があります。民事的責任にとどまらず、刑事責任を問われる場合もあるため、発言には十分な注意が必要です。日々のネット利用において、相手の権利と感情に配慮した言動を心がけることが、トラブル回避の第一歩となります。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール