家賃の滞納が続き、契約解除通知を受け取るという事態は、誰にとっても重大な局面です。ですが、全てのケースで即時退去となるわけではありません。支払いの意思があり、実際に返済を進めている場合、交渉や訴訟対応によって契約を継続できる可能性もあります。本記事では、家賃滞納から契約解除までの流れ、そして裁判でどのような主張が認められる可能性があるのかを解説します。
契約解除通知は法的手続きの第一歩
賃貸契約では、借主が家賃を一定期間滞納すると、貸主側から契約解除の通知が届くことがあります。これは法的には「催告」と呼ばれ、支払いがなければ契約を解除する旨を正式に伝える手続きです。
この通知のあと、支払いがなされない、あるいは和解が成立しなければ、「建物明渡訴訟」が提起されることが一般的です。この訴訟により、最終的に強制執行(退去命令)に至る可能性があります。
滞納家賃を分割で支払う意思がある場合の対応
支払いの意思がある場合、それを明確に示すことが非常に重要です。特に、すでに弁護士を通じて支払計画を提示している場合は、その履行が信用回復のカギとなります。
具体的には、次のような行動が有効です:
- 支払計画を文書で提出し、誠実に履行を始める
- 滞納解消までのスケジュールを具体的に提示する
- 今後の家賃も含めて遅延なく支払う旨を明言する
これにより、貸主側が契約の継続を検討する可能性が高まります。
裁判で契約継続を認められる可能性
実際に建物明渡訴訟となった場合、裁判所は形式的に「滞納=契約解除」ではなく、借主の事情や誠意、支払能力を総合的に考慮します。判例の中には「信頼関係破壊の法理」に基づき、滞納があっても契約継続が認められた例もあります。
たとえば以下のような要素がプラスに働く可能性があります:
- 初犯である(過去に滞納履歴がない)
- 支払いの努力を具体的に行っている
- 弁護士を通じた丁寧な交渉をしている
- 社会的な事情(コロナ禍、病気、失職など)が存在する
柔軟な交渉が可能な場合、どこまで妥協できるか
質問内容のように「相手方弁護士が柔軟」と感じられる場合は、必ずしも全面対決ではなく、和解に向けた交渉の余地があります。例えば、次のような解決策も可能性があります:
- 一時的な猶予期間付きの契約継続
- 支払計画を公正証書化(強制執行認諾付き)して貸主に安心を与える
- 一定額入金後に訴訟取り下げ合意
ただし、交渉はタイミングが重要です。訴状が提出される前後で貸主側のスタンスが変わることもあるため、早めに具体的な提案を行うことが鍵になります。
仮に訴訟となった場合のリスクと対応
建物明渡訴訟で契約解除が認められた場合、最終的に強制退去となることもあります。この場合の流れは以下のとおりです:
- 契約解除が有効と判断される
- 明渡し判決が出される
- 期限内に退去しない場合は強制執行
ただし、その前に和解が成立すれば、訴訟中でも退去を免れるケースもあります。
まとめ:契約継続のカギは「誠実さ」と「早期の行動」
家賃滞納から契約解除通知、明渡訴訟といった流れは確かに厳しいものですが、誠実な支払い意思と実際の行動が伴えば、裁判所も柔軟な判断を下す余地があります。
また、貸主側の弁護士が交渉に応じる姿勢を見せている場合は、法的対応とともに話し合いによる解決を模索することが、最も現実的で建設的な選択肢となるでしょう。